NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン1 第1節(リーグ戦) カンファレンスB2024年12月21日(土)14:30 味の素スタジアム (東京都)東京サントリーサンゴリアス …

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第1節(リーグ戦) カンファレンスB
2024年12月21日(土)14:30 味の素スタジアム (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 12-33 埼玉パナソニックワイルドナイツ

ファンを沸かせ、リーグワンを熱くする
帰ってきた男たちが開幕戦で見せた雄姿


帰ってきた東京サントリーサンゴリアスのショーン・マクマーン選手

ラグビーのある日常が帰ってきた。4季目を迎えるリーグワン開幕戦で激突したのは、ともに優勝が至上命令の2チーム、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)対埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)。結果は、鉄壁の青い壁を構築した埼玉WKが東京SGのアタックを見事に封じて、33対12と完勝した。

ただ、勝敗以外にも重要なトピックスがある。どちらのチームにも、ひさしぶりの公式戦となった主力選手が満を持して登場。早速、以前と変わらぬ雄姿でファンを沸かせたことだ。

東京SGでは、肩とひざの故障による手術とリハビリで一昨季と昨季は全休だったショーン・マクマーンがカムバック!ブランクを感じさせないハードワークとパワフルなランでトライにつながるプレーを見せた。

「リーグワンの試合に戻ってくることが目標でした。これだけの観客の応援があると自分のやる気も違います。どんどん頑張っていきたいです」(ショーン・マクマーン)

もう一人、東京SGの“帰ってきた男”は中野将伍。けがの影響で、一度は選出されたラグビーワールドカップ2023フランス大会の日本代表も辞退。その後も万全の状態には程遠く、リーグワンの公式戦出場はほぼ1年ぶりだった。

「フィジカルの部分でチームを前進させることを考えながらゲームに入りました。まだまだ成長できるし、調子も上げていけるかなと思います」(中野)


ほぼ1年ぶりの公式戦復帰となった埼玉パナソニックワイルドナイツの稲垣啓太選手

一方の埼玉WKで、今年2月以来の公式戦出場となったのは稲垣啓太だ。

「今日、11カ月ぶりに公式戦に出ることができて、やっぱりフィールドに立つのは素晴らしいなとあらためて思いましたし、これほど血が沸き立つ瞬間が自分の中にまだあるんだと実感もできました」(稲垣)

今年2月に手術を受けた影響で、新人時代から9季連続(ジャパンラグビー トップリーグも含む)で選ばれていたベスト15が昨季ついにストップ。さらに、稲垣を欠いたチームはレギュラーシーズンを無敗で駆け抜けながら、プレーオフトーナメント決勝では苦杯を舐める結果となった。

「普段なら絶対にウチがしないようなミス、ペナルティで取りこぼしているので、間違いなく慢心があったんだと思います。やっぱりメンタリティーの部分ですね。そういった部分はチームに伝えていける部分がもっとあったんじゃないか。今季はそこを伝えられるようにしっかりやりたいです」(稲垣)

存在だけでファンを沸かせ、チームも奮い立たせる男たちが帰ってきてくれた。新たに始まったリーグワンを楽しむ上で、これ以上うれしいニュースはない。

(オグマナオト)

東京サントリーサンゴリアス


東京サントリーサンゴリアスの小野晃征ヘッドコーチ(左)、堀越康介キャプテン

東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ

「チームとして目指していた結果ではありませんでしたが、両チームが自分たちのスタイルは見せられたのかなと思います。ありがとうございました」

──前半にミスが多かった要因は何でしょうか?

「開幕戦というプレッシャーが掛かるゲームの中、準備してきたことができた時間帯とできなかった時間帯、両方があったと思います。相手もすごく経験のある、粘り強いチームでディフェンスも非常に堅く、思うようなところに蹴れなかったという部分が前半の点差につながったかなと思います」

──後半に向けてはどのような指示を出しましたか?

「前半でいろいろ、ワーストケースなシナリオが起きたと思います。準備ができないシナリオに耐えたところもあれば、耐えられなかったところもあって、後半の40分はもう新しい試合と思って、『一つひとつのプレーに集中しよう』と伝えました」

──前半途中からサム・ケイン選手と流大選手を投入した狙いは何でしょうか?

「前半最初のプレーでチェスリン・コルビ選手がけがというか痛めてしまったこと。また、イエローカードのシナリオも起きてしまったので、サム・ケイン選手と流選手の経験がチームをまとめられるかなと思って、早めにそのカードを切りました」

──ショットを狙うかどうかの選択について、ヘッドコーチとして今日の試合、その点をどのように見ていましたか?

「僕はリーダーグループの選択を100%信用しています。『選手たちがグラウンドレベルで感じたことが一番正しい』というのは、自分も選手のときはそう考えていました。ただ、選手たちに迷いがあった場合は、こちらとして答えは準備しているので、それを伝える場合もあります」

──埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)のディフェンスについての話が出ました。現役時代から肌で感じてきた部分はあると思いますが、ヘッドコーチの立場から今日の相手のディフェンスはどう感じましたか?

「常に15人で立ってディフェンスするチームですし、ブレイクダウンでもすごくいいプレッシャーを掛けるチームです。そこで自分たちの『アグレッシブ・アタッキング・ラグビー』をするためには、ボールを持ったときにもっともっと(スキルを)磨いていかないと。あと、(ボールを)手放すタイミングを今後、戦術的にも考えていかなければと思います」

東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン

「ありがとうございました。(小野)晃征さんも言っていましたが、自分たちのスタイルを両チームが出しつつ、埼玉WKさんは僕たちの強みを消すというか、相手の力を封じる能力が高かったと思います。準備してきたことの100%は出せなかったですけど、やってきたプロセスはまったく間違ってないと思いますし、シーズンは長いので、また1週間、全員でフォーカスしながら頑張っていきたいなと思います」

──ショットを狙わず、ダイナミックに攻めましたけど、迷いなく選択できていましたか?

「まず、試合前にリーダーグループの中で、どの時間帯で、どこのゾーンだったらショットを狙うのか、タッチを切るのか、という点は話をしたんですけど、前半の最初の部分でショットを狙ってもいい場面では、僕らはモールにすごく自信があったので、その選択をしました。もちろん、これからもショットを狙う場面では積極的にショットを狙いたいと思っていますが、そのバランスを考えながら今後もやっていきたいなと思います」

──『モールに絶対の自信がある』という話がありましたが、実際にモールを組んでみた際の手ごたえはいかがでしたか?

「もちろん、相手は埼玉WKさんなので、簡単にトライを取れるとは考えていなかったです。ただ、リーグワンのチームはどこもレベルが高いという想定の中でずっと練習に取り組んできて、その過程で自信を深めることができました。相手がどうこうではなく、自分たちにフォーカスして試合も練習も取り組めたと思います」

埼玉パナソニックワイルドナイツ



埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(左)、坂手淳史キャプテン


埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督

「リーグワンのシーズンに戻ってくることができたことをうれしく思っています。選手たちもこの開幕戦を待ち望んでいたので、それが気持ちの部分で試合に表れていたんじゃないかと感じています。

代表レベルの選手たちもチームに戻ってきてくれました。彼らのマインドセットの部分は本当に素晴らしく、今季の自分たちは挑戦者の立場にあるわけですが、彼らの立ち向かう姿はチームにいい影響を与えていました。ディフェンスの部分も素晴らしく、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)さんに対して(勝利する上で)大事なポイントになっていました。

また、みなさんは10番で先発した山沢京平選手について関心があると思うので先に言っておくと、彼のプレーは非常に良かったですし、同時に良い教訓もある試合だったと感じています」

──稲垣啓太選手の復帰(約11カ月ぶりの公式戦出場)について一言お願いします。

「試合に出られない期間もハードワークを重ねてきていましたので、こうして試合に戻ってくることができたのは本当に良かったです。彼は非常にプロフェッショナルな選手ですし、いい男でもあります。彼自身は当たり前のように思うことでもほかの選手にとってはいい見本となります。

キャリアの最初のころはあまりパスをすることもなかった選手ですが、いまではパスのスキルも伴って、できないことは何もない選手だと感じています。ただ、私よりも坂手(淳史)選手のほうが稲垣選手についてはうまく語れると思います(笑)」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン

「やっと開幕を迎えられて、チームとしてはワクワクした気持ちで臨むことができました。このチームは宮崎合宿で全員がそろったんですが、その中で『自分たちの準備を大事にしよう。準備できることがゲームを待つワクワクした気持ちにつながる』とチーム全体で共有できました。それ以前のプレシーズンからハードワークを積み重ねて成長してきましたが、宮崎合宿でまたチームが一つになり、この開幕戦に対してフォーカスを当てることができたことで集中力の高さを感じましたし、自分たちで自信を持っているディフェンスで前に出続けることができました。タックルに入り続けることができました。それをやり続けたところが今日の良かった部分じゃないかなと思います。

少しペナルティが多かった点はしっかりと改善したいと思いますし、ロールアウェイやモールのディフェンスの部分では課題も感じているので、そこはしっかりビデオを見ながら、チーム全体で修正をかけて来週のゲームに臨みたいです」

──宮崎合宿でフォーカスしたことをもう少し詳しく教えてください。

「プレシーズンマッチは特に勝つことも大事ですが、チームの底上げや若い選手たちがアピールする場でもあるので、結果以上に、自分たちのやってきたプロセスがどうゲームに全力で出せるのかという点にフォーカスを当ててきました。そのことを踏まえた上で、合宿では埼玉WKとして今季どういうアタックとディフェンスをしていくのか、ディテールの部分をこだわりました。きつい練習をしたというよりも自分たちの中でのワークショップを重ねながらコネクションを高めることもしましたし、短い時間の中で有意義なコミュニケーションを取りながら練習をしました。やり込んだというよりも、しっかりと深く理解した、というのが正しい表現かなと思います」

──東京SGがショットを狙わないラグビーを展開してきましたが、実際にやっていてどういう感触だったのでしょうか?

「ショットなのか、キックで(外に)出すのかという判断は、最終的にゲームが終わったあとにどうだったのかによって分かる部分で、僕たちとしても、トライを取りにいくのか、3点を狙いにいくのかは迷った部分もあります。一概には言えませんが、東京SGさんの『今季はもっとアタックする』という意志を感じることができました。ただ、僕たちの中でタッチに蹴るのか、ショットを狙うのかの判断では、ボーナスポイントもかかわってきます。今日は会場のスクリーンにトライ数が出ていなかった。今後は出していただけると判断基準になるので、ぜひよろしくお願いします」