バスケットボールの第77回全国高校選手権「ソフトバンク ウインターカップ2024」(WC、特別協力・朝日新聞社など)が23日、東京都内で開幕した。高校バスケの「王国」福岡の県代表は、男子が福岡大大濠と福岡第一、女子は精華女子と東海大福岡の…

 バスケットボールの第77回全国高校選手権「ソフトバンク ウインターカップ2024」(WC、特別協力・朝日新聞社など)が23日、東京都内で開幕した。高校バスケの「王国」福岡の県代表は、男子が福岡大大濠と福岡第一、女子は精華女子と東海大福岡の4校。福岡県バスケットボール協会の池田憲二・副会長に特徴や注目の選手を聞いた(以下、敬称略)。

 ――昨年のWC男子決勝は、第一が大濠との「福岡対決」を制し、5度目の優勝。雪辱を期す大濠は先月の県予選で第一を破った

 今年の大濠はいわば「スター軍団」。日本代表合宿メンバーに選ばれた渡辺伶音(れおん)(3年)は身長206センチと大きいが、動きが俊敏で、3ポイントシュートも打てる。(U18日本代表の経験がある)高田将吾(3年)はオールラウンドに動け、主将の湧川裕斗(3年)のシュート力も高い。司令塔役のポイントガードの榎木璃旺(りお)(2年)は判断力があり、得点もできる。控えにも力のある選手がそろっている。

 ――今年の第一は?

 主将の八田滉仁(こうと)(3年)が得点源。双子の宮本聡(2年)と宮本耀(2年)はともにスピードがあり、守備も狙いがいい。第一は伝統的に守りが強い。これまで伝家の宝刀ともいえる「ゾーンプレス」で勝ち抜いてきたが、県予選を見た限りでは、まだ本領を発揮していない印象だ。WCまでにどこまで成長したか、期待したい。

 ――女子の県予選は精華女子が制した

 例年に増して、選手層が厚い。主将の清藤優衣(3年)は得点力が高い。ポイントガードの中釜光来(3年)はスピードや一対一の勝負強さがあり、ボールへの執着心もある。アキンデーレ・タイウォ・イダヤット(2年)は189センチでパワーもあり、彼女のシュートを防ぐのは難しい。今年はベスト8以上を望めると思う。

 ――昨年のWC4強の東海大福岡は?

 ゲームキャプテンのチャラウ・アミ(3年)は、試合経験を積んでプレーに余裕が出てきた。得点すべきところで確実に点を取り、ファウルも少なくなった。根間芙奈(はすな)(2年)はスピードがあり、勝負強いガード。浜口ゆず(2年)のシュートも良く入る。WCで2年連続でベスト4入りしたチームで、全国で勝つすべを覚えている。

 ――福岡は男女ともレベルが高いのはなぜ?

 小学校のミニバスが盛んで、中学にも強いバスケチームがある。幼い頃から始めると、やっぱり覚えは早い。あとは強豪として知られるブランド力のある高校に、他県からも良い生徒が集まる。

 ――昨年の男子県予選では大濠が第一を破ったが、WCでは第一が優勝した。その要因は?

 第一の井手口孝監督は昨年、県予選で敗れた時、「今年(の全国優勝)は難しいかも」と話していたが、しばらくすると、「ひょっとすると、ひょっとするかも」に変わった。昨年のエース崎浜秀斗は骨折で予選に出られず、悩んでいたが、第一のOBで日本代表の河村勇輝から、叱咤(しった)激励の電話があったらしい。バスケの練習だけではなく、日々の生活から見直せ、と。復帰した崎浜は別人のようで、チームの雰囲気もがらりと変わったという。WC決勝では神がかり的なシュートを決めていた。

 心の持ちようがプレーに大きく影響することがあり、高校生は急成長することもある。それが見られるのも、WCの醍醐(だいご)味の一つだ。(聞き手・中村有紀子)

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 23日に開幕した第77回全国高校選手権「ソフトバンク ウインターカップ2024」(WC、特別協力・朝日新聞社など)では、福岡県代表の東海大福岡が日本航空北海道(北海道)との女子1回戦を63―60で制し、2回戦に進んだ。24日に岐阜女子(岐阜)と対戦する。

 東海大福岡は序盤、相手の堅守や速攻に苦しんだが、チャラウ・アミ選手(3年)のゴール下での守りなどでリズムをつかみ、浜口ゆず選手(2年)や東口紅愛(くれあ)選手(2年)らの得点で第2クオーター(Q)で逆転。13点リードで迎えた第4Qは、相手の猛攻で同点とされたが、試合終了間際に浜口選手が3点シュートを決め、逃げ切った。(中村有紀子)

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 24日は初戦に勝利した東海大福岡が岐阜女子(岐阜)と、精華女子は倉敷翠松(岡山)と戦う。25日は福岡大大濠が日本航空(山梨)と、福岡第一は豊浦(山口)―福島東稜(福島)の勝者と戦う。

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いけだ・けんじ 1964年生まれ、鹿児島市出身。福岡大若葉(福岡市)の女子バスケ部監督。前身の九州女子時代から30年以上指導を続け、現在は福岡県バスケットボール協会副会長も務める。