12月21日(土)千葉・幕張メッセ イベントホールで開催される「ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2024 FINAL~GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRAND PRIX~」にて、GL…
12月21日(土)千葉・幕張メッセ イベントホールで開催される「ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2024 FINAL~GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRAND PRIX~」にて、GLORYとRISEによる65kg世界トーナメントが開催され、タイのペットパノムルン・キャットムーカオがGLORY現役王者としてトーナメント優勝を果たした。
GLORYは2012年に旗揚げし、ヨーロッパを中心に活動を続ける“世界最大のキックボクシング団体”。RISEは2022年からGLORYとの提携をスタートし、双方の団体への選手派遣やRISEでの対抗戦実施といった交流を続けてきたが、その集大成の一つとしてGLORY・RISEの両団体からトップ選手を集める形でのトーナメント=GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRAND PRIXが開催された。
階級は両団体の中でも選手層が厚い65kg級、優勝するためには1日3試合を戦わなければならない過酷なワンデートーナメントだ。GLORYからは現役王者を筆頭に上位ランカーがずらりと並び、RISEからも世界王者のチャド・コリンズ、原口健飛と白鳥大珠の日本人ツートップが参戦し「世界最強が日本で決まる」というキャッチコピー通り、65kgの立ち技世界最強を決めるトーナメントとなった。
そのトーナメントを制し、65kg世界最強を証明したのがGLORY現役王者のペットパノムルン・キャットムーカオだった。ペットパノムルンはGLORY王者として8度の防衛に成功し、RISEでも世界王座に就いたことがある65kgのトップ・オブ・ザ・トップ。ONE Championshipでキック&ムエタイ王者に君臨しているスーパーレックとは同門で、スーパーレック同様に強烈な蹴りを武器とするムエタイ戦士だ。
ペットパノムルンにとっても厳しい戦いが予想されたが、トーナメント1回戦では白鳥大珠に強烈なローキックを叩き込んで判定勝利。準決勝では無類のタフさを誇るイ・ソンヒョンを左の蹴りで完封し、判定勝利で決勝に駒を進める。決勝では1回戦・準決勝を1RKO勝利で勝ち上がったミゲール・トリンダーデとの対戦だったが、ペットパノムルンは体力的なハンデをものともせず、ここでも強烈な左の蹴りと首相撲を駆使する盤石の試合運びで勝利。1日3試合=合計9Rを戦い抜き、GLORY現役王者としてのトーナメント優勝という65kg完全制覇を成し遂げた。
出場選手が実力伯仲で接戦が予想されたものの、終わってみればペットパノムルンが強さを見せつけたトーナメント。大会当日は実況席で解説を務めたRISE世界バンタム級王者の志朗はペットパノムルンの左の蹴りではなく右の蹴り、特に前蹴りの上手さを挙げた。
「今日のペッチ(ペットパノムルン)を見ていて思ったのが、サウスポーで左の蹴りが強いだけじゃなくて、右もちゃんと蹴れるんですよね。その中でも特によかったのが右の前蹴り。選手は試合をしていて、自分が戦いやすいリズムやテンポがあるんですけど、ペッチは右の前蹴りでそれを相手に作らせないんです。相手からすると、自分が攻めるリズムやテンポを作っている最中に前蹴りを蹴られるから、なかなかリズムに乗れない。で、前蹴りを警戒していると左ミドルを蹴られるし、首相撲やクリンチで動きを遮断されて時間稼ぎされる。常にペッチが試合をコントロールしていた印象です」
また志朗はペットパノムルンのファイトスタイルがムエタイに依存していないところにも強さがあると語る。
「タイ人(ムエタイ)なので蹴りという大きな武器がありつつ、そこからのパンチだったり、試合の組み立て方だったり。タイ人が持っている武器や強みを活かして、GLORYやRISEのルールで勝てるファイトスタイルを作っているのがペッチだと思います。国籍こそタイですが、いい意味でムエタイらしくないインターナショナルな戦い方だと思います」
RISE伊藤隆代表は2025年以降もGLORYとの提携を続け「65kgで面白いことをやりたい」と発言。ペットパノムルンをRISEに招聘し、チャド・コリンズとのRISE世界スーパー・ライト級タイトルマッチでの再戦のプランも明かしている。いずれにせよ来年のRISE、そして世界の65kg戦線はペットパノムルンを中心に回っていくことになりそうだ。
文/中村拓己