第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で総合5位以内を狙う法大の鍵を握るのは、エースで3年連続山下りの6区を担った武田和馬(4年)だ。前回は法大勢で1947年大会の小池秀治以来77年ぶり3人目の同区区間賞を獲得した“法政のダウ…

 第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で総合5位以内を狙う法大の鍵を握るのは、エースで3年連続山下りの6区を担った武田和馬(4年)だ。前回は法大勢で1947年大会の小池秀治以来77年ぶり3人目の同区区間賞を獲得した“法政のダウンヒラー”(下りのスペシャリスト)。美容を趣味に持つエースが磨いてきた走りで、チームを目標達成に導く。

 頼れるエースが、法大の目標達成に不可欠だ。武田は「箱根に100%の状態で臨みたい。しっかりエースの走りをして、チームを総合5位に導きたい」と責任感を言葉に込めた。1年から3年連続山下りの6区を担い、前回は区間賞を獲得したが、今や平地での走力もチームトップレベル。前回から6区にこだわりはなく「どちらでも対応できる準備をしています」と往路の主要区間も担う覚悟を口にした。

 盤石の状態で新年を迎える。今季の前半は5月の関東インカレ5000メートル8位入賞、6月の全日本大学駅伝関東選考会(1万メートル)で自己ベストを約13秒更新する28分57秒70をたたき出した。9月の菅平合宿では積極的に練習を引っ張った。「4年生の仕事ができた」。チームを結果でも背中でもけん引する、まさに大黒柱だ。

 原動力にもなっているのが、休日の過ごし方。「陸上に本当に集中できるようメリハリをつけています」とオフは陸上を忘れ、チームの仲間たちと趣味のカフェ巡りに没頭する。部屋にはスキンケアグッズがずらりと並ぶ美容男子で、専門店が並ぶ東京・新大久保への買い足しも大好きな時間だという。中でも日焼け対策は「命を懸けています」とし、今年の箱根駅伝では「みんなストレッチやマッサージのクリームを塗る中、僕は1月3日の早朝から日焼け止めでした」とこだわりを明かす。

 入学時の持ちタイムは同期で下から数えた方が早かったが、「本当に努力した。今ではチームからもエースと呼んでもらえるところまで来て、陸上人生が切り開けた」と地道な鍛錬とメリハリが、武田を強くしてきた。往路出走の可能性も高いが、「やっぱり自分は下りの印象が強いと思うので」と4年連続6区も視野に入れる。“法大のダウンヒラー”が、泥臭く積み上げた走りと、磨き上げた美肌で箱根路を駆け抜ける。(手島 莉子)

 ◆武田 和馬(たけだ・かずま)2002年8月31日、岩手・滝沢市出身。22歳。滝沢南中から一関学院高に進み、21年に法大の社会学部に進学。1年時の箱根駅伝で6区2位と好走し、チームの3年ぶりのシード権獲得に貢献。2年時は同区5位、3年時は同区区間賞獲得。自己ベストは5000メートル13分53秒53、1万メートル28分57秒70、ハーフマラソン1時間2分48秒。177センチ、62キロ。

 ◆法大 1919年創部。箱根駅伝には21年の第2回大会から出場。総合の最高成績は3位(31、43年)。往路、復路ともに優勝1回。出雲駅伝は最高7位。全日本大学駅伝は最高5位(95、2001年)。練習拠点は八王子市。タスキの色はオレンジに濃紺の縁取り。長距離部員は47人、学生スタッフ19人。主なOBに01、05年世界陸上400メートル障害銅メダルの為末大氏、東京五輪3000メートル障害代表の青木涼真(ホンダ)。