G1最多のV16(競輪祭新人王除く)を誇る神山雄一郎(56)=栃木・61期・S2=が現役を引退する方向であることが23日、明らかになった。同日に行われた取手競輪場でのレースがラストランとなった。競輪を統括するJKAは24日に都内で会見を行…

 G1最多のV16(競輪祭新人王除く)を誇る神山雄一郎(56)=栃木・61期・S2=が現役を引退する方向であることが23日、明らかになった。同日に行われた取手競輪場でのレースがラストランとなった。競輪を統括するJKAは24日に都内で会見を行うと発表。G1グランドスラム(全冠制覇)、生涯獲得賞金額歴代1位の29億円超、さらに現役最多の909勝など数々の金字塔を打ち立てた競輪界のレジェンドがバンクを去る。

 長きに渡り競輪界のトップを走り続けた神山が最後に909回目の1着を奪って、現役生活にピリオドを打った。1988年5月に花月園(現在は廃止)でデビュー。日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)61期在校1位、卒業記念チャンピオンの看板通り、3連勝の完全優勝で競輪選手人生をスタートした。

 デビューからわずか10カ月後の89年3月にA級戦3場所連続完全優勝で最高ランクのS級へ特別昇級を決めると、圧倒的な機動力を武器に大活躍。93年9月に地元の宇都宮でG1初優勝(オールスター)して以降、積み重ねたG1タイトルは16個。99年3月には日本選手権(静岡)を優勝して、史上3人目(当時)となるG1グランドスラムを達成した。

 多くの勲章を手にしてきたが、年末の大一番・KEIRINグランプリだけは縁がなかった。91年の初出場以降は歴代1位となる16回の出場を果たしたが、最高成績は2着。95~98年は4年連続で準優勝に終わるなど最後まで頂点に立つことができなかった。

 ラインの先頭で戦う自力選手から、前の選手を援護する追い込み選手に脚質を変更してからも1着を積み重ねた。2016年3月には47歳10カ月で静岡記念を制して、自身が持っていた最年長記念競輪優勝記録を更新。通算99回の記念優勝と節目となる100回目の記念優勝はかなわなかったが、23年6月の函館F1では通算900勝も達成した。

 だが、近況は決勝進出がなく(22年7月静岡F1以来決勝進出なし)競走得点も低下した。さらに今年は6月の函館G3、7月の宇都宮F1での失格が響き、来年1月からは35年ぶりにA級降級が決まっていた。

 レースを終えた神山は「とりあえず終わり。ちょっと休んでから次に向けて頑張る」と今後についての明言は避けたが「最後に自分らしいレースができた。2日目は力不足だったけど、開催を通してプロらしいレースができた。納得の開催だった。909勝。あと一つ足りなかった。なんとか今開催で二つは勝ちたかったけどね。でも、手を抜いた36年ではない。何レース走ったか分からないけど、積み重ねた結果なので」と話した。最後は「家に帰って、ゆっくりしてからですね」と話して自家用車で取手競輪場を後にした。

 神山雄一郎(かみやま・ゆういちろう)1968年4月7日生まれ、56歳。栃木県小山市出身。180センチ、87キロ。作新学院高卒業後、61期生として日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入学。88年5月に花月園(現在は廃止)でデビュー。93年オールスター(宇都宮)などG1V16(競輪祭新人王除く)は歴代1位。2012年6月には前人未到の獲得賞金額25億円を突破。生涯獲得賞金額は29億3830万1609円(23日現在)。