◆バレーボール ▽全日本選手権 最終日 サントリー3―0大阪ブルテオン(22日、Asueアリーナ大阪) 男子決勝で、サントリーが前回覇者・大阪Bを3―0で破り、2010年大会以来、14年ぶりの頂点に立った。07年に現行方式となってから2度目…
◆バレーボール ▽全日本選手権 最終日 サントリー3―0大阪ブルテオン(22日、Asueアリーナ大阪)
男子決勝で、サントリーが前回覇者・大阪Bを3―0で破り、2010年大会以来、14年ぶりの頂点に立った。07年に現行方式となってから2度目の制覇。今季サントリーに加入したパリ五輪代表の高橋藍(らん、23)がチーム2位の10得点。第3セットのマッチポイントでは、スパイクを打つふりをしてトスを上げる華麗な「フェイクセット」で日本一に導き、MVPにも輝いた。優勝請負人はイタリアから移籍後初タイトルを「通過点」とし、次は大同生命SVリーグ初代王者を狙う。
大歓声が心地よかった。サントリーが10年大会以来の優勝を決めると、藍は歓喜の輪に加わり、右手で「1」のポーズをつくって跳びはねた。チームメートの兄・塁(24)ともハグを交わし、会場に駆けつけた4901人に笑顔で手を振った。「(最後は)みんなで取った1点。天皇杯を優勝したい気持ちは強かった。懸けている思いがあった。責任をしっかり果たせたのでは」と誇った。勝利後はMVPにも輝いた。
10月の大同生命SVリーグ開幕戦で完敗するなど、大阪Bには今季2連敗していた。スタートからエンジン全開で立ち向かった。第1セット(S)はサーブで崩した。第2Sは藍のスパイクなどで最大5点ビハインドを逆転。第3Sでは客席に上半身を乗り出しながらボールをつないだ。締めはマッチポイント。「直感だった」とスパイクを打つと見せかけてライトにトスを上げるトリッキーな「フェイクセット」を繰り出した。ファンを魅了し、ムセルスキーの得点につなげた。「大阪B相手に自分たちの力を出せたのは、自信になった」と胸を張った。
日本での大きな挑戦だった。世界最高峰のイタリア1部で3季プレーし、今夏のパリ五輪後の戦いの場として選んだのは初の国内リーグ。5月のサントリー入団会見では「夢のある競技にしたい」「これまでにいない選手になりたい」と唯一無二の存在を目指すと強調した。開幕後は左足首違和感も出て、決して納得がいく活躍ばかりではなかった。それでも「さまざま経験が成長につながる」。新たな挑戦を続け、仲間とともにタイトルへまい進した。
京都・東山高3年時の20年、主将として全日本高校選手権で日本一になり、飛躍のきっかけをつかんだ。果敢に挑んだサントリーでも初の頂点に立ち「自分のキャリアにも、チームにも重要だった」とかみしめた。
次なる目標はSVリーグの初代王者の座だ。現在4位。「この優勝は通過点。ゴールじゃない。さらに強いサントリーをつくっていきたい」。自信に満ちた表情で、どん欲に進化を続ける。(宮下 京香)
◆全日本選手権の近年のMVP 23年は男子が西田有志(パナソニック、現大阪B)、女子は古賀紗理那(NEC)が夫婦で選出された。今年の女子は井上愛里沙(姫路)だった。