<プロボクシング:全日本新人王決勝戦>◇21日◇東京・後楽園ホール◇12階級スーパーバンタム級で、今大会最年少となる西軍代表の山本愛翔(18=カシミ)が同級新人王を獲得した。決勝で東軍代表の矢野円来(23=花形)と拳を交え、計2度のダウンを…

<プロボクシング:全日本新人王決勝戦>◇21日◇東京・後楽園ホール◇12階級

スーパーバンタム級で、今大会最年少となる西軍代表の山本愛翔(18=カシミ)が同級新人王を獲得した。決勝で東軍代表の矢野円来(23=花形)と拳を交え、計2度のダウンを奪って1回0分54秒、TKO勝利を収めた。右ボディーでダウンを先制し、続いて左フックでダウンを追加。レフェリーストップに追い込んだ。プロ初KO勝ちが「54秒殺」で大会最優秀選手賞(MVP)にも選ばれた。これで山本の通算戦績は5勝(1KO)1敗。

今回の新人王獲得で来年には日本ランキングで12位以内に名を連ねることになる。山本は「本当に強い選手ばかりの中、MVPを取れてうれしい。試合感覚が短い中で勝ち上がってこられたのはうれしい。MVPを取ったから狙われる立場になるので、1戦1戦やっていきたい」と25年の抱負を口にした。

山本が中学1年だった18年8月、石川・金沢市で開催された所属ジム興行に当時、WBA世界バンタム級王者だった井上尚弥(大橋)が来場。世界挑戦経験があり、当時世界ランカーだったジェネシス・セルバニア(カシミ)との特別スパーリングに臨んだ時に対面を果たした。山本は「すれ違ったぐらいですが、尚弥さんにボクシングをしていますと話したら『頑張ってください』と言われて。あこがれの人。世界王者が目標なので徐々に勝ち上がっていきたい」と目を輝かせた。

高校進学を契機に家族のいる七尾市から離れ、金沢市で1人暮らしを開始。高校に通いながらカシミジムでボクシング技術を磨いてきた。七尾市は今年1月の能登半島地震で震度7強となり、実家も断水したという。山本は「自分の勝利で(被災者が)元気になってもらえればと思います」と静かに燃えていた

◆山本愛翔(やまもと・あいと)2006年(平18)1月10日、石川・七尾市生まれ。小学1年から空手を始め、同5年からボクシングも開始。中学2年でU-15全国大会に優勝。金沢学院大付属高進学と同時にカシミジムで本格的にボクシングのトレーニングを開始し、高校総体16強が最高成績で、アマ戦績は15勝(7RSC)7敗。23年11月に4回判定負けでプロデビュー。家族は両親と兄、姉、弟。身長168センチの右ボクサーファイター。