「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、東和薬品ラクタブドーム) 男子フリーが行われ、22年北京五輪銀メダリストでショートプログラム(SP)1位の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)がフリー205・68点、合計297・73点で初優…

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、東和薬品ラクタブドーム)

 男子フリーが行われ、22年北京五輪銀メダリストでショートプログラム(SP)1位の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)がフリー205・68点、合計297・73点で初優勝を果たした。来年3月にボストンで行われる世界選手権の代表入りも決めた。

 鍵山は4回転フリップ、4回転サルコーなどをしっかりと着氷させた。安定したスケーティングでスタンドのファンを魅了し、フィニッシュポーズを決めると氷に大の字となって倒れた。そして両手を合わせ、「持ってる部分は出せた」と納得の演技だったことを表現した。

 鍵山の父でコーチを務める正和さんも1991年から93年まで3連覇しており、今大会の初優勝で男子史上2組目の親子制覇となった。優勝決定後に父は号泣。「久しぶりに父が感動して泣き出した。いつも冷静であまり感情を思い切り出さない。うれしかった」と鍵山は語り、「父が金メダルを取った個数を超えたい。もっと頑張りたい」と前を向く。

 正和さんは「おめでとうしか言えなくて、ずっと泣きじゃくってました。これだけは絶対に取ってほしかった。これでやっと世界を狙っていけるのかな」と苦笑いを浮かべながら明かした。1組目は10年に優勝した小塚崇彦さんと68年まで3連覇した父・嗣彦さんだった。

 終了後にはリンクで大の字になったが「(宇野)昌磨さんを見て、最終滑走でいい演技をしたらやってみたかった。中田くんに先にやられたけど、やってみた。気持ちよかった(笑)」と語り、「これからは全日本王者として注目される。そこに恥じぬようにしたい」と力を込めた。

 20日のSPでは4回転を2種降りるも、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)でまさかの転倒となっていた。

 2012年から2023年までの12大会は、羽生結弦さんと宇野昌磨さんが優勝を分け合っており、今大会は2008年に優勝した37歳の織田信成(大阪スケート倶楽)以外に優勝経験者はいなかった。

 また37歳で全日本のリンクに立った織田信成は惜しくも表彰台を逃したが、4位に入った。