「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、東和薬品ラクタブドーム) 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)5位で2010年バンクーバー五輪代表の織田信成(37)=大阪スケート倶楽部=がフリー150・15点、合計234・68点で…
「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、東和薬品ラクタブドーム)
男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)5位で2010年バンクーバー五輪代表の織田信成(37)=大阪スケート倶楽部=がフリー150・15点、合計234・68点で4位だった。惜しくも表彰台を逃したが、滑りきると涙を流し「色んな経験ができたすごく豊かなスケーティングだった」と思いを吐露した。
報道陣による囲み取材の最中、織田は涙をこらえきれなかった。「全然、平たんな道じゃ無くて。平たんじゃなかったからこそ坂を駆け上がる力をつけることができた」。一度は現役を退いたが、22年に復帰。全日本の舞台で、最終グループの演技で完全燃焼を果たしたが、後悔の思いもあった。
「前の現役でこういう練習ができたらよかったぐらい。苦しい部分もあったけど、練習から楽しかった」と明かした織田。再挑戦したことで新たな発見を得られた。37歳という年齢で「もう一度、向き合わなければ分からないことや、体力的に厳しいなと発見があった」。そして「本当に体が限界なのでゆっくり休みたい。20歳若返ればいいのになと思うけど、今年で潔く引退ということにします」と笑った。
この日、最終グループ滑走者が登場し、織田の名前が紹介されると一番大きな歓声がスタンドからわき起こった。フリーでは冒頭の4回転トーループこそ転倒してしまったが、以降のジャンプはすべて着氷。演技を終えると氷に右手を当て、全日本のリンクに別れを告げた。スタンドのファンが総立ちとなる中、深々と頭を下げた。
終了後には「本当に最終グループのしびれるような緊張感を11年ぶりに味わわせてもらってすごくいい経験」と笑みを浮かべた。最愛の家族は見つけられなかったというが「支えてもらい感謝。金銭も厳しくて、現役出なかったら(子供に)おもちゃを買ってあげられたのにな」と思いを語っていた。