「レスリング・全日本選手権」(21日、代々木第二体育館) 男子フリースタイル86キロ級で、五輪3大会出場の高谷惣亮(35)=拓大職=が3位に入った。セコンドには弟でパリ五輪銀メダリストの高谷大地(30)=自衛隊=がついた中、準決勝で白井達…
「レスリング・全日本選手権」(21日、代々木第二体育館)
男子フリースタイル86キロ級で、五輪3大会出場の高谷惣亮(35)=拓大職=が3位に入った。セコンドには弟でパリ五輪銀メダリストの高谷大地(30)=自衛隊=がついた中、準決勝で白井達也に1-2に惜敗したものの、3位決定戦では吉田真聖に代名詞のタックルやがぶり返しなどを面白いように決め、1分10秒、11-0のテクニカルスペリオリティーで完勝。また、試合後には、大会直前の11月にバイク事故を起こし、左膝を負傷していたことも明かした。
2022年まで全日本選手権12連覇を果たしたタックル王子がまた“鉄人”ぶりを発揮した。11月にバイクを運転していて自損事故を起こしてしまったといい、「前日に雨が降っていて、夜道でマンホールの上でスリップして、膝(の地肌)が全部ずり剥けた。地面にずるずるいっちゃって。脚が(車体から)抜けなかったので、巻き込まれちゃって」と告白。左膝をすりむき、打撲もあったものの、病院には行かなかったという。「水で(傷口を)全部流して、ワセリンを塗っとけば大丈夫やろうと。こういう男です(笑)」と、世界の猛者と渡り合ってきたワイルドさをにじませた。
けがをした直後は激痛のあまり練習できなかったといい、「痛すぎて、3日くらい(練習を)やらなかった。(その後も)練習で膝をつかずにやっていたので、今回(得意の)タックルがなかなかできなかった」と首をひねりつつ、「来年には治る。(試合前に)そういうミスもないようにやりたい」と頭をかいた。
先日放送された「細かすぎて伝わらないモノマネ」にも出演した35歳の元世界2位は現在、母校の拓大で監督も務めており、軸足を置いている学生への指導が7割で、自身の練習に割く時間は3割程度だという。
“三足のわらじ”である筑波大大学院の博士課程も来年が最終年度となるが、「若手の壁になりたい」と現役レスラーとして意欲は尽きることなく、今後の目標について「アジア大会に出場したことがないので、来年本気で(代表権を)取りに行きたい。アジアでメダルを獲得したい」と高らかに宣言。さらに、今夏のパリ五輪は出場を逃したものの、「ロス(五輪)はもちろん狙っております。(周囲に向けて)あえて言っておくが、ロスは目指す。後輩たちも『どうせ高谷さんが出ないから』となると成長が止まってしまう。私自身も負けないように頑張っていきたい」と、4度目の夢舞台へ意欲を強調した。