◆フィギュアスケート ▽世界選手権代表選考会 全日本選手権 第1日(20日、大阪・東和薬品ラクタブドーム) ショートプログラム(SP)が行われ、男子は初制覇を目指す2022年北京五輪銀メダルの鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が…

◆フィギュアスケート ▽世界選手権代表選考会 全日本選手権 第1日(20日、大阪・東和薬品ラクタブドーム)

 ショートプログラム(SP)が行われ、男子は初制覇を目指す2022年北京五輪銀メダルの鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が首位発進。2010年の小塚崇彦親子(父・嗣彦)以来、史上2組目となる父・正和コーチ(53)との父子Vに王手をかけた。女子は、4連覇を狙う世界女王の坂本花織(24)=シスメックス=が貫禄の演技で首位スタート。フリーは男子が21日、女子は22日。

 鍵山が貫禄の首位発進を決めた。今季の自己ベスト105・70点には及ばない92・05点ながら、7度目の全日本で初Vに王手。「アクセルだけが大きなミスになったけど、コーチはそれ以外の部分は加点がつくものと言ってくれた。そこは大きな収穫」。1993年に全日本3連覇を果たした父・正和コーチとの父子Vに大きく前進した。

 冒頭の4回転サルコー、続く4回転―3回転トウループを成功。喝采を浴びたが「ノーミスがよぎって、力が入ってしまった」と、最後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒した。「4回転が2本決まったからこそ、思い切り最後までやるべきだった」。スピン、ステップなど他の要素に納得していただけに「そこが悔しい」と反省顔だった。

 父は31年前にこの大会で3連覇。勝てば10年の小塚嗣彦・崇彦親子以来、史上2組目の父子制覇となる。22年の北京五輪では親子でオリンピアンの夢を果たし、銀メダルを獲得して鍵山家の悲願を達成。5歳からの“師弟”関係は、硬軟織り交ぜた指導だ。今季は安定感ある演技が課題で、フリーでミスが続いた11月のGPシリーズ第5戦・フィンランド大会後には10分ほどのお説教。「返す言葉もなかった」と苦笑いを浮かべるが、演技中の精神的な浮き沈みの一助となったという。

 五輪2連覇の羽生結弦さん(30)、五輪2大会連続メダルの宇野昌磨さん(26)が競技会から退き日本男子のエースとして26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ期待がかかる。過去12年間、全日本王者に羽生さん、宇野さんの2人が君臨。継承者として自身の名を刻む時がきた。今大会は来年3月の世界選手権(米・ボストン)の代表選考会。エースの使命は代表に入り、ミラノ五輪の日本の出場枠を獲得することだ。フリーへ「自分自身、全力を出し切ったと思える演技ができるように。100%で頑張りたい」と鍵山。完璧な演技で新王者の称号をつかむ。(大谷 翔太)

 ◆男女シングルの世界選手権代表選考 各3枠の男女は全日本優勝者が自動的に代表入り。2人目は全日本の2、3位やGPファイナル上位2人(男子は鍵山と佐藤、女子は千葉と坂本)、全日本終了時でISU公認のシーズン最高得点の上位3人から選考。3人目は世界ランキングなども加味して選出。来年3月の世界選手権は、26年ミラノ五輪の枠取りをかけて行われる。