巨人が今オフ、大幅な補強を断行している。中日の守護神だったライデル・マルティネス投手を獲得し、楽天を自由契約になった田中将大投手、ソフトバンクから国内FA権を行使した甲斐拓也捕手とそれぞれ基本合意に達し、外国人補強にも抜かりがない。 今季…

 巨人が今オフ、大幅な補強を断行している。中日の守護神だったライデル・マルティネス投手を獲得し、楽天を自由契約になった田中将大投手、ソフトバンクから国内FA権を行使した甲斐拓也捕手とそれぞれ基本合意に達し、外国人補強にも抜かりがない。

 今季、阿部監督就任1年目で優勝を達成し、来季のリーグ連覇、成し遂げられなかった日本一へ球団の本気度を物語るような補強。阪神、広島、オリックスで指導者を歴任してきたデイリースポーツ評論家・岡義朗氏はV奪回を目指す阪神、リーグ制覇を狙う日本一のDeNAなど「他球団からすればすごく嫌な、脅威となるような補強に感じる」と分析する。

 「巨人が2~3年前の低迷期から脱して今年、優勝した。これで選手もチーム全体も力をつけたし、何より自信がついたと思う。そこでまたこれだけの補強を現場と球団が相談して行った。間違いなく、プラスアルファとなりえるし、来季は不安なく戦えると思う」と語った岡氏。守護神に大勢、捕手では岸田らが成長してきている中、「すごくいい補強だと感じるよね」と評する。

 「若手が伸びてきている中でも、こうやって実績のある選手を補強する。これは実績以外の部分でも既存の選手に与える影響は大きい。甲斐の存在から若手選手が学ぶことは多いと思うし、それでレベルアップすることができる。そして移籍してきた本人たちも、新たなチームに溶け込もうとしてこれまでになかった力を発揮する。メンタルの部分を考えてもいい補強だと思うし、特に田中だって新たな気持ちで入ってくると思う」。岡氏の記憶に残っているのは、1977年オフに南海から金銭トレードで移籍してきた江夏豊氏の姿だった。

 阪神、南海で輝かしい実績を残してきた江夏氏。広島に加入した1年目、同僚となった岡氏は「あれだけの実績を残してきた江夏さんが1年目は謙虚に、新しいチームで居場所を作っていくという思いでプレーしていた。チームメートと接する中でも気軽にサインに応じてくれたり、いろんなことを話してくれたりね。謙虚に遠慮しながらプレーして。それで成績を残して、広島に居場所を作った」と回顧する。

 「だから田中もやってみないと分からない部分はあるけど、新しいチームで新しいメンタリティでやれるのは間違いなくプラスだと思う。そして若手に経験を伝えてあげられるだけのモノを残してきた選手だしね。復活して7~8勝だったとしても、巨人にとってはプラスアルファが得られると思う」と分析。さらにチームの風土としても「巨人は新しく入ってきた選手が活躍すると、周りが持ち上げてくれる。それで新たな勢いが生まれ、チーム力が上がっていく。菅野がメジャー移籍で抜けてしまったけど、田中が加入したことで、本人も含め、全体がレベルアップしていけば、いい補強となるよね」と分析する。

 連覇を成し遂げるためには、前年よりもレベルアップを果たした姿が必要だ。チームを変える、そして強くするという球団の意思を感じる補強。やはりライバル球団にとっては脅威となりそうだ。