◆第69回有馬記念・G1(12月22日、中山競馬場・芝2500メートル) 大物食いを静かに狙っている。チャンピオンズCで厩舎の看板馬レモンポップの有終Vを果たした田中博厩舎が、今度は米G1・BCターフ2着のローシャムパークで、ラストランを迎…
◆第69回有馬記念・G1(12月22日、中山競馬場・芝2500メートル)
大物食いを静かに狙っている。チャンピオンズCで厩舎の看板馬レモンポップの有終Vを果たした田中博厩舎が、今度は米G1・BCターフ2着のローシャムパークで、ラストランを迎える同期ドウデュースの高い壁となる。田中博調教師は「有馬記念になると(前走とは)コース形態も違うし、100メートル延びて条件は替わりますが、中山はしっかり走っている舞台」と勝負気配を漂わせている。
前走のBCターフで長距離適性の高さを感じ取っている。初の2400メートルだったが、道中で我慢を利かせ勝負どころで進出。直線もしっかり脚を使って、G1・7勝の英国馬レベルスロマンスに首差まで迫ってみせた。スタミナ豊富なハービンジャー産駒は、異国の地で新境地を切り開いた。トレーナーは「距離は延びていいだろうなということは確認できた」と手応えを得た一戦だった。
「有馬記念仕様」に仕上げられてきた。初コンビを組むマーカンドを背に挑んだ1週前追い切りでは、美浦・Wコースでスタンド前から出て8ハロンの長めから。人馬の呼吸をシンクロさせてスムーズに加速。ラスト1ハロン11秒5(6ハロン79秒6)で僚馬と併入した。田中博師は「有馬記念をイメージして感触を得てもらうため。状態はいいのでカギは折り合い」とし、確かな脚取りからは順調さが十分伝わった。
暮れのグランプリには特別な思いがある。騎手を目指す前の学生時代から競馬場に足を運び毎年、観戦した。一番の思い出は00年のテイエムオペラオーだ。そんな胸躍らせた舞台に初めて挑む。「大好きなレース。管理馬を送り出せるのはとてもありがたい」。期は熟した。1強ムードを打破し、厩舎の看板を背負える馬になると信じている。(松末 守司)