第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、3年連続19回目の出場となる城西大が16日、オンライン会見を行った。1年時に「仮想・箱根5区」と呼ばれる「箱根激坂最速王決定戦」で快走したエース・斎藤将也(3年)は「4代目・山の神」候補の大本命。…
第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、3年連続19回目の出場となる城西大が16日、オンライン会見を行った。1年時に「仮想・箱根5区」と呼ばれる「箱根激坂最速王決定戦」で快走したエース・斎藤将也(3年)は「4代目・山の神」候補の大本命。“襲名”の条件となる往路優勝、区間新記録に向けた意欲を示した。
前回、城西大はチーム史上最高の3位と躍進した。その立役者は5区で2年連続区間新記録をマークした山本唯翔(ゆいと、23)=現スバル=だった。櫛部静二監督(53)が「山の妖精」と名付けた山本を超える逸材が斎藤だ。
22年11月、箱根で行われた「激坂最速王決定戦」13・5キロで、斎藤は51分50秒の学生歴代最高記録で圧勝。2年先輩の山本に59秒の大差をつけた。その時点で5区候補に挙がったが、櫛部監督は全体のバランスを考慮し前々回、前回は2区・斎藤、5区・山本のオーダーを組んだ。山本が卒業した今回、いよいよ斎藤が山に挑むことが濃厚となった。
これまで箱根5区では3人の「山の神」が現れた。区間新で走り、往路優勝のゴールテープを切ることが“襲名”の条件とされる。「チームのために5区を走り、往路優勝を目指します」と斎藤はこの日、力強くコメントした。さらに「区間新記録の準備ができています」と意欲的に話した。上り坂に強く、1万メートル27分台の走力もある。「4代目・山の神」候補の大本命だ。
区間記録は前回に山本がマークした1時間9分14秒。ただ、15年に神野は現コースより約2・45キロ長い旧コースを1時間16分15秒で走破。現コースに換算した1時間8分54秒が「事実上の区間記録」とされる。櫛部監督は「天候次第では1時間8分台が狙える」と期待する。
「上りの適性があるか、自分では分からない。ただ、全力で駆け上がるだけです。何位でタスキをもらっても、1番でゴールできるように頑張ります」と斎藤は強気に話す。指揮官は「4区終了時点で、首位と2分差なら往路優勝のチャンスはある。青学大が首位の場合、5区に(前回2位の)若林宏樹君(4年)がいるので、1分差以内で斎藤にタスキを託したい」ともくろむ。
箱根山中で大逆転。城西大と斎藤が25年1月2日の主役となる可能性は、十分にある。
(竹内 達朗)
◆箱根駅伝5区「山の神」 05~07年に3年連続区間賞の今井正人(順大)が初代。09~12年に4年連続区間賞の柏原竜二(東洋大)が2代目。15年に区間新をマークした神野大地(青学大)が3代目。区間新記録で走り、往路の優勝テープを切ることが「襲名」の条件とされる。今井の以前には1974~77年に4年連続の区間賞で2回往路優勝した大東大の大久保初男も「神クラス」の活躍。当時は「山のスペシャリスト」と呼ばれていた。
◆斎藤 将也(さいとう・しょうや)2003年10月22日、福井・大野市生まれ。21歳。福井・敦賀気比高に入学後、本格的に陸上を始める。全国高校駅伝は1年4区42位、2年3区33位、3年1区11位。22年に城西大経営学部に入学。箱根は1年2区15位、2年2区8位。11月に1万メートル27分45秒12の城西大記録を樹立。165センチ、49キロ。
◆城西大 2001年創部。箱根駅伝は04年に初出場。最高成績は前回の3位。昨季は出雲2位、全日本は5位といずれも最高成績を残した。部員は51人、学生スタッフ5人。練習拠点は埼玉・坂戸市。タスキの色は黄色。女子駅伝部は全日本大学女子駅伝で1998、00年の2度優勝。主なOBは16年リオ五輪トラック長距離代表の村山紘太(GMOインターネットグループ)、21年東京五輪3000メートル障害代表の山口浩勢、箱根5区で2年連続区間新記録の山本唯翔(スバル)。