広島・床田寛樹投手(29)が16日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、5000万増の年俸1億5000万円でサインした。今季はチームトップに並ぶ11勝を挙げるも、9月は未勝利。その反省を踏まえ、オフは直球を磨き直して平均球…
広島・床田寛樹投手(29)が16日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、5000万増の年俸1億5000万円でサインした。今季はチームトップに並ぶ11勝を挙げるも、9月は未勝利。その反省を踏まえ、オフは直球を磨き直して平均球速の向上を図る。9敗したことも受け止め、負け数を減らすことも自身に課した。(金額は推定)
表情に満足感は漂っていなかった。むしろ床田の胸の内にあるのは、歯がゆさ。「正直、もっとできたと思う」。2年連続で11勝をマークした一方、目を向けたのは9月の失速。「来年、勝負どころで頑張れるように」と教訓にしながら新たな戦いに挑んでいく。
前半戦から順調に勝ち星を積み上げたが、9月5日・DeNA戦以降は未勝利。後半戦は10試合に登板して2勝にとどまり、自身4連敗でシーズンを終えた。9月に苦しんだ要因には「『この試合、負けるわけにはいかない』という試合が増えて。先制点を取られてヤバいなと思うようになった」と普段とは違った心理状態が影響したと振り返った。
結果的に9敗を喫した事実を受け止め「10勝しても10敗近くしてしまう投手なら、突き抜けた選手にはなれない。負けを減らせれば」と来季のテーマを掲げた。それを実現させるために着目するのは直球。今オフは「まずはストレートの平均球速。ストレートを磨いていきたい」と原点に立ち返ってレベルアップをもくろむ。
投球を支える変化球はツーシームとカットボール。ただ、その2球種への割合が増えれば相手打者も警戒する。その傾向が強まった時に、信頼度の高い直球が選択肢にあれば“手詰まり”になる状況は防げると考えている。「1年間戦ってツーシーム、カットの中間球待ちのチームがすごく増えた気がする。そこで真っすぐで押し込めなかった。それが結果が出なかった要因だと思う」と冷静に分析した。
今季の平均球速は141~142キロ。右足首を骨折した22年シーズンは145キロ前後を計測していたという。「まず、そこにいければ」と目安を設定。「しっかり真っすぐで空振り、ファウルを取れば、変化球も生きてくる。(今季も)真っすぐの球速が上がった時は、それなりに試合は作れていたと思う。まずは中間球待ちを変えたい」。他球団からのイメージを一新させるためにも、ストレートにこだわる。
来季からは新背番号19をつけ、30歳を迎える。「全てにおいてキャリアハイを出せるように。結果で引っ張っていけるようにできれば」。働き盛りの左腕は、もう一つ上のステージを見据えながら牙を研ぎ続けていく。