【「2歳戦の実績」を重視】 12月15日(日)、京都競馬場で2歳馬によるGⅠ朝日杯フューチュリティS(芝1600m)が行なわれる。 今年は、阪神競馬場のスタンドリフレッシュ工事の影響で、76回目にして初めて京都コースで行なわれる。過去の傾向…
【「2歳戦の実績」を重視】
12月15日(日)、京都競馬場で2歳馬によるGⅠ朝日杯フューチュリティS(芝1600m)が行なわれる。
今年は、阪神競馬場のスタンドリフレッシュ工事の影響で、76回目にして初めて京都コースで行なわれる。過去の傾向は当てはまらないと思われるので、今回は各馬の血統・配合のよさを基に分析していこう。
先週、34年ぶりの京都での開催となった阪神ジュベナイルフィリーズも「2歳戦の実績」を重視し、勝ち馬となったアルマヴェローチェが本命に挙がった。今回も同様の血統馬を推奨したい。
そういった観点から、筆者が本命に推したいのがミュージアムマイル(牡2歳、栗東・高柳大輔厩舎)だ。
前走の黄菊賞を制したミュージアムマイル
photo by Sankei Visual
父リオンディーズは2015年のこのレースの勝ち馬で、史上初めて、デビュー2戦目で朝日杯フューチュリティSを勝った"天才ランナー"である。そのレースぶりは圧巻だった。出遅れ気味のスタートも、完全に抜け出した1番人気のエアスピネルを、上がり3F33秒3という怒濤の末脚で差し切り。脚部不安のため5戦2勝で引退したが、それがなければ相当な実績を残しただろう。
その高い資質は種牡馬として発揮され、今年のGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)を勝ったテーオーロイヤルなど、数々の活躍馬を輩出している。産駒は芝、ダート、距離を問わずに活躍するのが特徴で、父キングカメハメハの特性を受け継いでいる印象だ。2歳戦でも、ジャスティンロックが2021年のGⅢ京都2歳S(阪神・芝2000m)を勝利と、2歳や3歳春の早い時期からも活躍馬を出している。
ミュージアムマイルの牝系を見ると、今年のGⅠオークス(東京・芝2400m)、GⅠ秋華賞(京都・芝2000m)を勝ったチェルヴィニアのほか、今回と同じ京都・芝1600mで行なわれた1993年のマイルチャンピオンシップを勝ったシンコウラブリイなどが出ている。
シンコウラブリイは2歳牝馬によるGⅠ阪神3歳牝馬S(阪神・芝1600m)でも3着と好走したように、2歳戦から強い競馬を見せていた。また、近親のコディーノもGⅢ東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)、GⅢ札幌2歳S(札幌・芝1800m)と2歳重賞を2勝し、GⅠ朝日杯フューチュリティSでも2着に入っていた。コディーノの父はキングカメハメハなので、ミュージアムマイルと似た血統構成となる。
ミュージアムマイルの競走成績を見てみよう。8月の中京・芝1600m戦でデビューして3着と敗れたが、10月の京都・芝1800m戦で勝ち上がり。前走の黄菊賞(京都・芝2000m)を3馬身差で完勝している。
距離延長で本領を発揮したような競走成績だが、父リオンディーズは京都・芝2000mの新馬戦を勝ったあとに朝日杯フューチュリティSを勝利。同じマイル戦でもGⅠは厳しい流れになりがちで、中距離経験が生きることも多い。2021年の勝ち馬で、今をときめくドウデュースも、芝1800mの新馬戦(小倉)とアイビーS(東京)を勝っての参戦だった。父仔制覇に期待したい。
【もう1頭の有力馬は芝1600mで2戦2勝】
もう1頭はトータルクラリティ(牡2歳、栗東・池添学厩舎)を推す。
同馬の父バゴは産駒数こそ少ないが、2歳のGⅠでは6回の出走で2着2回という成績。この朝日杯フューチュリティSで2着だったのが2020年のステラヴェローチェで、同馬は同年7月の新馬戦(阪神)、同年10月のGⅢサウジアラビアロイヤルC(東京)と、芝1600mで2戦2勝の成績を残していた。
トータルクラリティも、今年6月の新馬戦(京都・芝1600m)、8月のGⅢ新潟2歳S(新潟・芝1600m)と、重賞を含む2戦2勝でここに臨む。新馬戦はこの京都でのレースだったので、コース経験があるのも心強い。
以上、今年の朝日杯フューチュリティSは、リオンディーズ産駒ミュージアムマイル、バゴ産駒トータルクラリティに注目する。