◆プロボクシング ▽東洋太平洋スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇中嶋一輝 (2回TKO) 辰吉寿以輝●(12日、東京・後楽園ホール) メインの東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチは王者・中嶋一輝(大橋)が…

◆プロボクシング ▽東洋太平洋スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇中嶋一輝 (2回TKO) 辰吉寿以輝●(12日、東京・後楽園ホール)

 メインの東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチは王者・中嶋一輝(大橋)が同級6位・辰吉寿以輝(大阪帝拳)に2回TKO勝ちし、2度目の防衛に成功した。

 戦績は31歳の中嶋が17勝(14KO)2敗1分け、28歳の辰吉が16勝(10KO)1敗1分け。

 衝撃的な幕切れだった。中嶋の左強打一発で、辰吉はキャンバスに大の字だ。後頭部を打ち付けて担架で運ばれる次男を、父の元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎(大阪帝拳)はじっと見守った。

 2人は医務室で対面。息子に代わって取材に対応した父は「試合があったかどうか、記憶になかったみたい。このくらいで済んだからよかった。失神できたからひどくならずに済んだ」と親の顔をのぞかせた。

 寿以輝は、父が1990年9月にプロ4戦目で岡部繁(セキ)を下し日本バンタム級王座を獲得した後楽園ホールでタイトル初挑戦。デビューから9年8か月かかってたどりついた大一番だったが、父子2代でベルトを巻くことは遠のいた。「(期待で)堅くなったかな。圧力もすごいし、取らなきゃいかんというので先に行ってしまった。左が圧倒的に少なかった」と丈一郎は振り返った。

 吉井寛会長は今後について「少し休んでから話したい。ビデオを見て本人がどう言うか…。でも将来が閉ざされたわけじゃない」と話した。丈一郎は「これでええもんにするか、まだまだだと思うか…。自分のことなら言えるが、寿以輝は寿以輝や。本人が決めるしかない。俺ならリマッチする」と話した。「負けてから強くなるのが辰吉なんや」―。自身、3度世界王座に返り咲いた父の一言にはボクサーとして、父としての強い思いが込められていた。