◆プロボクシング▽東洋太平洋スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ○王者・中嶋一輝(TKO2回2分13秒)同級6位・辰吉寿以輝●(12日、後楽園ホール) チャンピオンの中嶋一輝(31)=大橋=が、衝撃のワンパンチKO…

◆プロボクシング▽東洋太平洋スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ○王者・中嶋一輝(TKO2回2分13秒)同級6位・辰吉寿以輝●(12日、後楽園ホール)

 チャンピオンの中嶋一輝(31)=大橋=が、衝撃のワンパンチKOで2度目の防衛に成功した。元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎(54)の次男で同級6位・辰吉寿以輝(28)=ともに大阪帝拳=の挑戦を受けた中嶋は、2回に左フックを辰吉の顔面にクリーンヒット。挑戦者はキャンバスに頭を打ち付け失神すると、レフェリーが瞬時に試合をストップした。

 辰吉ジュニアの登場にホールが超満員になる中での圧巻もKO劇。「カズキ・コール」がリング上の王者を包み込んだが、本人はいたってクールだった。「たまたま左が当たってよかった。でも、手応えがあったので、立ち上がってこないと思った」と淡々とラストシーンを振り返った。

 勝利の喜びを前面に押し出さないのには、理由がある。目標は地域タイトルの防衛ではなく、あくまで世界。スーパーバンタム級は、同門で同じ年の4団体統一王者・井上尚弥が存在する。大橋秀行会長は、将来的な世界挑戦を見据えながら「今は尚弥のいる階級。いずれ(フェザー級に)上がるだろうから、焦らないのが一番」と、今は王座防衛を重ねながら世界ランクをひとつでも上げていくことに専念する。

 過去に東洋太平洋バンタム級、WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級の王座を獲得。ともにベルトを奪われながらも必ず再起し、再び王座を手にしてきた実力者。「まだまだここは追加点。世界に向けてがんばりたい」。ビッグネームを退け、確実に世界への階段を上り始めた。

 戦績は中嶋が17勝(14KO)2敗1分け、プロ初黒星の辰吉は16勝(10KO)1敗1分け。