今週は京都競馬場で、第76回朝日杯フューチュリティステークス(GI、芝1600m)が行われる。先週の阪神JFに続き、こちらの2歳戦も京都芝外回りでの施行だ。ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬16頭の全頭診断を行う。◆【朝日杯フューチュリ…
今週は京都競馬場で、第76回朝日杯フューチュリティステークス(GI、芝1600m)が行われる。先週の阪神JFに続き、こちらの2歳戦も京都芝外回りでの施行だ。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬16頭の全頭診断を行う。
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■朝日杯フューチュリティステークス2024 出走予定馬全頭診断
・アドマイヤズーム
この馬で注目すべきは前走。600m通過34秒0と淀みなく流れるなか、2番手追走からマイル戦を1分33秒9の時計で制したレースだ。新馬戦を使われたことで、素軽さと終いの切れ味が増した感あり。過去10年の朝日杯FSにおいて、川田将雅騎手騎乗かつ前走1着馬は【3.0.0.1】と好走が多く、GI即通用の可能性を秘めた馬として警戒。
・アルテヴェローチェ
本レースの最重要ステップレースとなるサウジアラビアRC。そのレースの勝ち馬が過去10年の朝日杯FSで【3.1.1.0】と抜群の安定感を誇っているのも頷けるだろう。後方から大外一気の前走と同じ競馬では厳しいと思うが、武豊騎手騎乗の新馬戦は外枠不利の札幌芝1500mで道中4番手追走、4角で先頭を射程圏に捉えていたように一定の先行力あり。この中間はウッドで4F50秒3、ラスト1F11秒1と申し分ない仕上りで、軽くは扱えない。
・アルレッキーノ
持ったままで1分33秒3の未勝利戦が示すようにポテンシャルは非凡。問題は控える競馬を経験させた前走がアダとなったのか、この中間に気性面の問題が顕在化しつつある点だ。走ってみないとわからない点がどうかも、繰り返すがポテンシャルは2歳馬のなかでもトップクラス。ピンかパーかのタイプで、スムーズに運べる枠の並びなら評価を上げたいところだ。
・エイシンワンド
1200→1400mへの距離延長で掲示板外に敗れた前走。現状はスプリント適性が高く、マイル戦での強調材料は乏しい。
・エルムラント
1勝クラスですらフタ桁着順の現状。厳しい。
・クラスペディア
エイシンワンド同様、1200→1400mへの距離延長でパフォーマンスが低下。距離短縮時に見直したい。
・コスモストーム
初めての芝がGIの舞台。変わり身は望み薄か。
・ダイシンラー
2走前に3着好走の京都芝外回り替わりは魅力も、当時の勝ち馬ランフォーヴァウは阪神JFで11着惨敗。その比較から、一変を望むのは酷に映る。
・タイセイカレント
スタートで後手を踏みつつ2着を確保した前走。馬群を縫うように進出した決め手は魅力だが、スタートに対する不安はそれだけで本命級の印を打つうえでの障壁となる。右回り未経験である点、10頭立て以上の経験がない点も含めて押さえ程度が妥当か。
・テイクイットオール
マイルの新馬戦で負かした馬はいまだ未勝利。GIのメンバー相手では厳しい戦いが予想される。
・ドラゴンブースト
スタートで大出遅れを喫した新馬戦以降、ゲートが安定してきた近2走はいずれも連対圏を確保。先行力がある点はDコース替わりの京都芝で大きな武器となる。このメンバー相手に勝ち切るまではどうかも、ヒモ穴のゾーンでケアしたい1頭だ。
・トータルクラリティ
新馬戦→新潟2歳Sと連勝中の馬。前走は2着馬に交わされたと思ったところから差し返しており、際立った勝負根性を証明したレースだった。初の左回り、夏競馬にもなんなく対応したメンタルは2歳馬離れしたもの。Dコース替わりの京都芝を踏まえたとき、前にいける脚質もアドバンテージとなりそうだ。
・ニタモノドウシ
福島→札幌と連勝して臨むGIの舞台。大前提としてローカルより東京や京都といった主場のほうがレベルは高い傾向にあり、前走クローバー賞も地方馬が多数参戦とメンバーレベルへの疑問は否めない。ただ、先週は前走札幌組のアルマヴェローチェが勝利。連続開催でタフな京都芝は洋芝適性とマッチする可能性があり、何らかの印は必要か。
・パンジャタワー
先行抜け出しの新馬戦から一転、差す競馬で勝利を収めた京王杯2歳S。自在脚質は強みと言えるが、当時の勝ち方そのものにインパクトは感じなかった。左回りを連勝して臨むローテーションは一昨年のオオバンブルマイと同じ。同馬が凡走を喫した点を踏まえると、3着のゾーンが精いっぱいか。
・ミュージアムマイル
1600→1800→2000mと距離延長を続け、今回は再び新馬戦と同じ1600m替わり。その背景には、直線の長いコースでこそ真価を発揮できるタイプであるという陣営の狙いがあるのだろう。過去3戦すべて上がり3F最速だが、次位につけた差がもっとも大きいのは芝2000mの前走で、もっとも少ないのが芝1600mの新馬戦。Dコース替わりで前残り馬場が誘発されるようなら差し損ねのリスクも浮上する。
・ランスオブカオス
終いの切れ味が目を引いた前走。そう遠くないうちに勝利を挙げる馬だとは思うが、今回は間隔の詰まったローテーションに初距離、多頭数と不安要素が尽きない。ここは様子見が妥当か。
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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年12月12日 18:00公開の記事)
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家 競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。