「牽制が来た時にしっかり戻れるという自信があることが大事」 ドジャース・大谷翔平投手の野球観が伝わってきた。移籍1年目の今季は54本塁打を放つだけでなく、リーグ2位の59盗塁。9日(日本時間10日)に行われた合同インタビュー。「盗塁数を大幅…

「牽制が来た時にしっかり戻れるという自信があることが大事」

 ドジャース・大谷翔平投手の野球観が伝わってきた。移籍1年目の今季は54本塁打を放つだけでなく、リーグ2位の59盗塁。9日(日本時間10日)に行われた合同インタビュー。「盗塁数を大幅に伸ばしたが、走塁、盗塁で何かつかむものがあったか?」。1年の総括として質問すると、予想外のコメントが返ってきた。

「盗塁(が増えた理由)は一番は帰塁ですかね。リードと帰塁が一番ですかね」

 自己最多を大きく更新する59盗塁。もちろん果敢に次の塁を狙いにいったからこその成績だ。それでも、大谷自身が進化を感じ取ったのは帰塁。「盗塁のスタートではなく?」。間髪を入れずに聞き直すと、こう返答した。

「(スタートは)そこまでですかね。しっかりとした姿勢で構えて反応できれば、ある程度、いいスタートが切れると思う。それより、しっかりとしたリードを取りながら、牽制が来た時にしっかり戻れるという自信があることが、スタートを切る、または二塁に進んでいく過程で大事だなという感じです」

 盗塁は得点のチャンスを広げるが、失敗すれば試合の流れも変えかねない。果敢に次の塁を狙うよりも、まずは試合を壊さないことが前提。盗塁の記録への考え方も根底は同じだ。

「数字は積み重ねでしかない。特に盗塁に関しては、成功数よりも失敗数の方が、僕は大事にしたいと思っている。何本を企画するか(より)、企画した中で成功する割合が高ければ、それが勝利につながる可能性が高いと思う」

 来季から投手復帰する。周囲では今季の盗塁数は減るという見方が一般的だ。それでも、今まで球界の常識を壊してきたユニコーン。「それを覆したい思いはあるか?」と聞いたが、あくまで勝利のための盗塁、走塁だ。

「失敗を減らしていくという作業をしながら、いけるときにはもちろんいく姿勢というのは、例え投手として、その試合で投げていたとしても、進塁した方が可能性が高いのであれば、もちろんいく準備はしたいなと思っています」

 NPB時代の恩師、栗山監督は「走塁に野球観が出る」と語っていた。いかに大谷がチームの勝利を求めているかが伝わってくる回答だった。(小谷真弥 / Masaya Kotani)