文:座間辰弘(ラリーズ編集部) 写真:getty images第30回アジアカップ卓球大会が2017年9月15日~17日、アーメダバード(インド)で開催された。男女とも中国勢同士が決勝を争い強さを見せた。日本勢は女子が石川3位、平野4位とな…

文:座間辰弘(ラリーズ編集部) 写真:getty images

第30回アジアカップ卓球大会が2017年9月15日~17日、アーメダバード(インド)で開催された。男女とも中国勢同士が決勝を争い強さを見せた。日本勢は女子が石川3位、平野4位となり両名とも10月に行われるワールドカップの出場権を獲得。男子は水谷5位、丹羽8位に終わったが、水谷は優勝した林高遠をグループリーグで破る活躍を見せた。

アジアカップは男女とも中国若手選手が優勝

中国選手のエントリーに変更があり、中国男子は許昕(中国・9月度ITTF世界ランキング3位 前年度優勝者)の代わりに林高遠(中国・同29位)、中国女子は丁寧(中国・同1位)の代わりに朱雨玲(中国・同3位)が出場し、結果的にこの2人が優勝した。若手選手が優勝したことで、中国の選手層の厚さを示す大会となった。

日本男子は水谷が健闘

水谷隼(木下グループ・同8位)は、優勝した林高遠をグループリーグで破り、1位通過で決勝トーナメントに進出。準々決勝でも樊振東(中国・同2位)を追い詰める。2セット目をとり、セットカウント1-1となって迎えた3セット目3-8でリードされてから6点連取し9-8。その後何度もセットポイントをとるが、最後は樊振東のフォアハンドに押し切られ、5位に終わった。

丹羽孝希(スヴェンソン・同9位)は、グループリーグ2勝1敗だったが、樊振東が陳建安(台湾・同45位)に2-3で敗れた為、1位通過で決勝トーナメントに進む。準々決勝ではグループリーグで勝利している陳建安と再戦するも2-4で敗退。その後の順位決定戦でも、セットオールまで競り合うも勝ち星に恵まれず8位となった。

日本女子は石川と平野がワールドカップへの出場権を獲得

女子は、石川佳純(全農・同5位)、平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園・同6位)がともに準決勝まで勝ち進み、いずれも中国選手に敗れた。3位決定戦は日本人対決となり、石川佳純が平野美宇を4-3で破り、今年の全日本選手権決勝の雪辱を果たし、意地を見せた。

平野はグループリーグでまさかの2敗を喫し、プレーオフに回ることになったが、苦しみながらも巻き返し4位。

アジアカップの3位以内に入れば、10月に行われるワールドカップにも出場出来る規定となっており、石川はワールドカップへの出場権を確定。
その他の地域ランク、世界ランクの規定により、平野、水谷、丹羽もワールドカップへの出場権を手にいれた。

男子は林高遠が優勝

男子は林高遠が決勝でセットカウント4-2で樊振東を破り優勝した。林高遠は、格上の中国選手には両ハンドで強気の攻めを貫くことが出来る。樊振東は両サイドへの攻めに苦しめられた。樊振東は、決勝までの6試合のうち、4人の左利きの選手と対戦していることもあり、林高遠は事前に戦い方をイメージし易かったことも勝因の一つだろう。

林高遠は、全中国運動会の団体戦決勝でも馬龍を破っている。中国選手以外と対戦した時にも強気の攻めを出来れば、今後世界のトップ10に入る可能性も充分にある。

樊振東は、らしくない負けが続いた。9月6日に終了した全中国運動会から1週間余りでアジアカップが始まった。タイトなスケジュールだっただけに樊振東も本来の調子を維持出来なかったのではないか。

女子は朱雨玲が優勝

女子は朱雨玲が優勝。今年6月の世界選手権ドイツ大会準決勝でも対戦した劉詩文と今回も激戦となったが、再び朱雨玲が競り勝った。対戦成績では劉詩文に負け越しているが、ここ最近は連勝している。

今年4月のアジア選手権では0-3で平野美宇に敗れた朱雨玲だが、今大会で平野と2回対戦し、隙の無いプレーで2連勝。

朱雨玲は、今後の中国を支える中心選手の一人になるだろう。

大会総括

今回、男子で中国・日本・韓国・台湾以外の国で特に健闘したのは、イランだ。男子のプレーオフにはイランの選手が2人進出し、世界ランキング上位の選手を苦しめた。特にグループリーグで黄鎮廷(香港・7位)を破ったノシャド・アラミヤン(イラン・68位)は、今年の世界選手権で3位に入った李尚洙(韓国・14位)をセットオール10-10まで追いつめた。

インド(ITTFチームランキング14位)、イラン(ITTFチームランキング26位)の各選手も世界ランキングを伸ばしてきており、今後の国際大会でも上位に食い込む可能性がある。

女子は、中国と日本以外の国で世界ランクトップ10に入れる選手がなかなか育っていない。世界ランキングトップ100を見ても、中国15人、日本20人に対し、シンガポールは5人、韓国は8人。香港は6人しかいない。また30代の選手がまだ現役で続けており、若手が育っていない国も多い。各国の女子選手育成は今後も課題になるだろう。

尚、次の国際大会としては9月19日よりITTFオーストリアオープンが開催される。今回アジアカップに出場した丹羽、石川、平野らも参戦予定となっている。

アジアカップ男子最終順位(上位)

1林高遠(中国)2樊振東(中国)3李尚洙(韓国)4陳建安(台湾)5水谷隼6丁祥恩(韓国)7荘智淵(台湾)8丹羽孝希

アジアカップ女子最終順位(上位)

1朱雨玲(中国)2劉詩雯(中国)3石川佳純4平野美宇5陳思羽(台湾)6徐孝元(韓国)7杜凱琹(香港)8鄭怡静(台湾)

アジアカップ日本男子全結果

5~6位決定戦:水谷隼4(-9,9,7,8,9)1丁祥恩(韓国・42位)
7~8位決定戦:丹羽孝希3(8,4,6,-8,-5,-10,-8)4 荘智淵 (台湾・15位)
5~8位決定戦:水谷隼4(-8,7,-9,-6,5,6,11)3 荘智淵 (台湾・15位)
5~8位決定戦:丹羽孝希3(6,9,-8,7,-11,-11,-8)4丁祥恩 (韓国・42位)
準々決勝:水谷隼 1(-8,11,-14,-5,-8)4樊振東(中国・2位)
準々決勝:丹羽孝希2(7,-7,-6,3,-11,-11)4 陳建安(台湾・45位)
グループリーグ:水谷隼3(-9,-9,6,4,9)2林高遠(中国・29位)
グループリーグ:水谷隼3(5,8,8)0李尚洙(韓国・14位)
グループリーグ:水谷隼3(5,3,-8,8)1 ACHANTA Sharath Kamal(インド・47位)
グループリーグ:丹羽孝希3(8,-10,3,-14,4)2 何鈞傑(香港・55位)
グループリーグ:丹羽孝希1(-8,-8,8,-10)3 樊振東 (中国・2位)
グループリーグ:丹羽孝希3(11,10,4)0陳建安 (台湾・45位)

アジアカップ日本女子全結果

3位決定戦:平野美宇3(9,7,-9,-8,-3,9,-8)4石川佳純
準決勝:平野美宇0(-11,-8,-2,-10)4朱雨玲(中国・3位)
準決勝:石川佳純2(-13,-3, 9,-11,9,-6)4劉詩雯(中国・4位)
準々決勝:平野美宇4(-11,9,-8,9,-9,6,3)3陳思羽(台湾・43位)
準々決勝:石川佳純4(9,10,12,12)0杜凱琹(香港・32位)
プレーオフ:平野美宇3(7,-8,8,6)1BATRA Manika(インド・119位)
グループリーグ:平野美宇3(4,-7,5,9)1ユ・モンユ(シンガポール・35位)
グループリーグ:平野美宇0(-6,-8,-8)3朱雨玲(中国・3位)
グループリーグ:平野美宇2(10,-6,4,-4,-7)3杜凱琹(香港・32位)
グループリーグ:石川佳純3(-5,11,7,-6,7)2徐孝元(韓国・30位)
グループリーグ:石川佳純3(10,6,-3,5)1フォン・ティエンウェイ(シンガポール・8位)
グループリーグ:石川佳純3(6,9,9)0陳思羽(台湾・43位)