■アウェイ岡山が序盤から主導権を掌握 リーグ戦の順位を覆した。 今シーズンのJ2リーグを締めくくる「J1昇格プレーオフ準決勝」が12月1日に開催され、4位のモンテディオ山形と5位のファジアーノ岡山が激突した。 戦前の評価は、山形が上回って…

■アウェイ岡山が序盤から主導権を掌握

 リーグ戦の順位を覆した。

 今シーズンのJ2リーグを締めくくる「J1昇格プレーオフ準決勝」が12月1日に開催され、4位のモンテディオ山形と5位のファジアーノ岡山が激突した。

 戦前の評価は、山形が上回っていただろう。夏の移籍市場におけるMF土居聖真とFWディサロ・燦・シルヴァーノの獲得が起爆剤となり、9連勝でリーグ戦を終えていたからだ。そのなかにはJ2優勝の清水エスパルスを、アウェイで破った勝利も含まれている。GK後藤雅明を中心とした守備も、リーグ最少4位の失点を誇る。攻守のバランスにも優れているのだ。

 対する岡山は、最終節で下位の鹿児島ユナイテッドFCと引分け、4位から5位へ順位を下げてプレーオフを迎えた。山形の勢いが並外れたものだったことから、試合前に彼らを推す声は少数派にとどまっていた。

 ところが、である。敵地へ乗り込んだ岡山は、開始早々から見事なフットボールを披露する。前線から規制をかけてビルドアップを阻み、敵陣でボールを奪取する。山形が前線へ蹴り出したボールも、ことごとく回収した。彼ら本来のスタイルを見せていく。

 14分、22分と決定機を作り出していたことを踏まえれば、31分の先制点は試合の流れを反映したものだっただろう。左サイドからのボールをCF一美和成が胸コントロールで収め、MF本山遥につなぐ。ペナルティエリア内から放たれた一撃が、それまで好守を見せてきたGK後藤を破ったのだった。

■攻守にスキなしの岡山が決勝へ

 敵地で先制点をあげた岡山は、攻勢を強める。34分、左CKからFW木村太哉がシュートを放つと、ゴール前の密集でFW岩渕弘人の足に当たってネットが揺れる。あっという間にリードを広げた。

 前半のうちに2点をリードした岡山だが、52分にアクシデントに見舞われる。岩渕が退いたのだ。チーム得点王は右足の太もも裏を気にしながら、ピッチをあとにした。

 その直後、試合の行方を決定づけるジャッジが下される。岡山の選手と交錯した山形のDF川井歩が、ラフプレーで一発レッドを受けるのである。

 数的優位に立った岡山だが、選手交代で攻撃のギアを上げた山形に押し込まれる時間帯もあった。しかし、GKスベンド・ブローダーセンが身体を投げ出す場面は限定的で、2対0のまま時間を進めていく。

 84分には決定的な3点目を奪う。MF藤田息吹のスルーパスから木村がDFラインの背後へ抜け出し、GKをかわしてから冷静に流し込む。22年のJ1参入プレーオフで山形に0対3で敗れた岡山が、同じスコアでリベンジを果たして決勝へコマを進めたのだった。

 準決勝のもうひとつのカードでは、リーグ戦6位のベガルタ仙台が同3位のV・ファーレン長崎を下した。この結果、同5位の岡山は決勝をホームで戦うことができる。引分けでもJ1昇格をつかめる。条件は岡山に有利だ。さらに言えば、仙台には今シーズンのリーグ戦で連勝している。

 不安材料は主力のコンディションだろう。岩渕だけでなく一美が、右足を痛めて後半途中に退いている。木山隆之監督のマネジメントが、決勝戦ではポイントになりそうだ。

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