◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ◇東京よみうりCC(東京)◇7002yd(パー70) ゴルフのギアといえば、ドライバーやアイアン、パターなど14本のクラブばかりに目がいきがちだが、実はそれと同じぐらいプロゴルファーが重きを置くのが…
◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ◇東京よみうりCC(東京)◇7002yd(パー70)
ゴルフのギアといえば、ドライバーやアイアン、パターなど14本のクラブばかりに目がいきがちだが、実はそれと同じぐらいプロゴルファーが重きを置くのがゴルフシューズの存在だ。試合中はコース内で長時間歩行し、その間に練習も含めて何度もスイングをする。時には傾斜で踏ん張ることもあるし、ゴルファーの足にかかる負担は大きい。プロが試合で使うアイテムの中で、実は使用頻度が一番高いのではないだろうか。
では、男子プロはどこのメーカー(ブランド)のシューズを選んでいるのか。ことしは石川遼がニューバランスを履き始めたり、中島啓太がアディダスと契約したり、“足元の話題”は意外と多かった。クラブと違いシューズは契約外のほうが多そうだが、用具提供を受けている選手も中にはいる。
男子ツアーのシューズ使用率を調べてみると、一番多かったのは予想通りフットジョイだった。一年間を通して平均使用率は約6割。2位のアディダス(平均約7%)を大きく引き離していた(以下、ブリヂストン、アシックスと続く)。今季優勝者や賞金ランキング上位者ら30人が集まるエリートフィールドの最終戦「日本シリーズJTカップ」でも、使用率6割を誇ったのはフットジョイだった(全て編集部調べ)。
なぜフットジョイを履く選手がここまで多いのか。これだけの使用率は単に“ばらまいている”わけではないはず。中には契約選手もいるだろうが、プロゴルファーもお金を稼ぐ職業、やはりパフォーマンスが良くなければ履かない。実際に日本シリーズでフットジョイを履いている選手に、お気に入りのポイントをヒアリングしてみた。
契約ではないが、フットジョイを好んで履いている蝉川泰果は、オレンジ色のソールが目立つ新しい「Hyper Flex(ハイパーフレックス)」を履いていた。
「かかとが高いタイプで、その高さによって前に重心がかかりやすいので、インパクトのタイミングで腰が引けることがなく右サイドで押せる。それが上手くはまりましたね」と蝉川。
そして靴のソールを見せながら、「ほら、このシューズ、スパイク6個しかついてないんですよ。それでもグリップがしっかりしているんです。今までスパイクがしっかりした、平らなシューズしか履いてこなかったんですが、こういう機能的なモデルはアリですね」と、替えて3試合目で早くもお気に入りなようだ。
続けて、今季初優勝を含む3勝(うち1勝はアジアンツアー)を挙げたフットジョイ契約選手の幡地隆寛の話も聞いておきたい。幡地が履く「PRO/SLX」はいわゆるスパイクレス。男子ツアーきっての飛ばし屋がポイント付きでないというのには驚く。果たしてグリップ力は大丈夫なのか。
「横方向の安定感がすごくあるんですよね。スイング中、体をひねった時にシューズが緩いと、靴の外側がグニャっとなってパワーを受け止められないのですが、それがない」と話し、身振り手振りで説明してくれた。飛ばし屋にとって必須である体重移動もしやすいという。
「右足の踏ん張りもあって、ダウンスイングでしっかり蹴れる。横に向かって蹴る動きが1回入るので、パワーが乗るんですよね。そして左足も体重が乗った時にしっかり受け止めてくれる。ソールだけを見ると頼りない感じがあるかもしれませんが、そんなことはなくて、すごい考えられているなって思いました」
幡地は靴の重さも重視していた。「多少の重さがあったほうがいいなと僕は思います。やっぱり軽すぎるとどうしても、踏ん張った時のパワーを受け止めきれない。パワーを逃がさない分の重さは必要なのかなと」。飛ばし屋のこだわりはどこか説得力がある。
やはり「機能>デザイン」の傾向が強い男子プロのシューズ選び。女子ツアーはフットジョイとナイキの2強に、ニューバランス、アディダス、エコーといったところが食いついている状況だったが、男子はフットジョイの1強状態がこのまま続くのか。来年も足元の戦いの行方を追っていきたい。(東京都稲城市/服部謙二郎)