静岡県ゆかりのウインタースポーツの日本代表戦士が、本格シーズンを迎える。30日に始まるフリースタイルスキー・モーグルのW杯には、北京五輪代表の杉本幸祐(29)=デイリーはやしや、袋井市出身=が出場。昨年12月に左膝の重傷を負ったが、新シー…
静岡県ゆかりのウインタースポーツの日本代表戦士が、本格シーズンを迎える。30日に始まるフリースタイルスキー・モーグルのW杯には、北京五輪代表の杉本幸祐(29)=デイリーはやしや、袋井市出身=が出場。昨年12月に左膝の重傷を負ったが、新シーズンから復帰する。
杉本がW杯の舞台に帰ってくる。1月12日に東京で手術を受けて以来、“試運転”の大会出場はない。11か月ぶりの復帰戦が、30日にフィンランドで開催される今シーズン開幕戦だ。
モーグル2種目で合計19戦を予定するなか、12月20日からの第6、7戦は、1年前に左膝前十字じん帯断裂などの重傷を負ったジョージアで行われる。「まずはけがをした大会に合わせています。そこまで7~8割で調子を取り戻して、ジャッジに『これが杉本』というスタイルを見せたい。そこから土台ができていって、(来年3月の)世界選手権でメダルを取りに行けるか」と明確なプランを明かした。
厄よけで有名な袋井市の法多山尊永寺の近くで生まれ育った。中学1年時にモーグル競技にのめり込み、家族全員で長野県へ引っ越した。約15年の競技人生で初めて経験した手術後、都内のナショナルトレーニングセンターなどで長期間、リハビリに励んだ。じん帯が断裂した箇所に別の腱(けん)を移植。練習量を増やすと患部に痛みが出た。それでも「このままじゃ終われない。『金メダル』という小学校からの夢を諦めきれない」と、シンプルな思いが杉本の心を支えた。
スキー板を履けない時期は股関節や胸椎の可動域を広げる取り組みを続け、時間を無駄にはしなかった。モーグル日本男子は18年平昌五輪で原大智、22年北京五輪で堀島行真が銅メダルを獲得。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ、ハイレベルな争いに再び割り込んでいく。
(武田 泰淳)
◆杉本 幸祐(すぎもと・こうすけ)1994年12月2日、袋井市生まれ。29歳。小学2年でスキーを始めたが、他に水泳、野球、空手など多くの競技を経験。本格的にモーグルを始めた袋井南中1年の時、雪を求めて一家で長野へ転居。22年1月のW杯で3位に入り自身初の表彰台。同2月の北京五輪は9位。174センチ、72キロ。