ソフトバンクからドラフト3位指名を受けた富士大・安徳駿投手(22)が28日、仙台市内のホテルで入団交渉を行い、契約金6000万、年俸1000万円で仮契約を結んだ。地元福岡でプロ野球の門をたたく最速151キロ右腕が、新天地への意気込みを語った…

ソフトバンクからドラフト3位指名を受けた富士大・安徳駿投手(22)が28日、仙台市内のホテルで入団交渉を行い、契約金6000万、年俸1000万円で仮契約を結んだ。地元福岡でプロ野球の門をたたく最速151キロ右腕が、新天地への意気込みを語った。

憧れ続けたプロの世界への第1歩を踏み出した。終始、緊張した面持ちで仮契約に臨んだ安徳。「実感が湧きました。トレーニングや野球に対する姿勢をもう1度、改めてしっかりとやっていきたいです」と気を引き締めた。

地元の福岡県久留米市から、1500キロ以上も離れた岩手県花巻市の富士大で大学野球の門をたたいた。入寮当初は、家族や友達と離れた寂しさから涙を流すこともあった。それでも、原動力となったのは母文子さん(44)の存在だった。

小学2年から女手ひとつで育ててくれた。「お母さんのために」とやってきた4年間でもあった。ひたむきに進み続けた先には、地元福岡に本拠地を置くソフトバンクからの指名があった。「育ったところで家族だったり、友達みんながいるところで野球ができるのはすごくうれしいです」。

遠く離れる北東北で行われる大学リーグ戦。文子さんは見に来ることができなかったが、今月行われた神宮大会は準決勝から観戦予定だった。だが、創価大に0-3で初戦敗退。成長した姿をみせることはできなかった。「悔しい思いはありました…」と口にするも「ホークスでは、神宮よりも見に来やすいと思うので、引きずらないように切り替えたいです」と前を向いた。

福岡出身選手として地元を盛り上げていく。「富士大に来て、家族や友達に見てもらえないつらさを感じた4年間だったので、見てもらえる幸せだったりをかみしめて投げたいと思います」。富士大からは育成含め、同校最多の6人が指名され、これからは仲間からライバルになる。それでも「新人王を取りたい」ときっぱり。地元の声援が安徳の大きな武器となる。

多くの人の支えがあってかなえた夢。これからは「活躍」という名の恩返しをしていく。【木村有優】