バスケットボール男子米プロNBAのグリズリーズなどで6季プレーした渡辺雄太(千葉J)が28日、都内で対応し、米プロNBAの八村塁(レーカーズ)と、日本バスケットボール協会(JBA)の間で起こっている問題について「悪者は1人もいない」などと…
バスケットボール男子米プロNBAのグリズリーズなどで6季プレーした渡辺雄太(千葉J)が28日、都内で対応し、米プロNBAの八村塁(レーカーズ)と、日本バスケットボール協会(JBA)の間で起こっている問題について「悪者は1人もいない」などと約15分間語り、私見を交えながら、「きっかけ」として23年W杯後のホーバス監督の発言を巡るすれ違いなど事の発端、騒動によりホーバス監督は現在、精神的に疲弊していることなどを明かした。
八村とホーバス監督を巡る経過は次の通り。
【23年9月3日】 W杯でのパリ五輪出場権獲得からの一夜明け会見で、ホーバス監督は八村の五輪参加について「入ってほしいけど。彼がやりたいなら彼から声をかけて。私たちのスタイルは変わらない。彼が来るなら、私たちのバスケをやります。やらないんだったらこのメンバーでいいチームを作りましょう。自信あります」とコメント。
【23年9月22日】 ホーバス監督のコメントは母国語ではない日本語での発言だったことから本意とする内容とは異なる形で広まってしまったとして、異例の英語での補足と訂正コメントを発表。「私が日本語で、もし代表チームでプレーしたい場合は『彼が私たちに電話すべきだ』と言ったことで、塁の日本代表での将来について混乱を招いてしまいました。実際のところ、日本バスケットボール協会(JBA)は八村選手や彼のマネジメントチームと定期的に連絡を取り合っており、彼はいつでもチームジャパンでプレーする権利を持っています」とし、八村のこれまでの日本代表への貢献に感謝を示す。
【24年3月】 ホーバス監督が都内で行われた講演会で、八村とNBAシーズン終了後に面会する意向示す。「(五輪への何らかの)気持ちはあると思う。来月話します、彼と」
【24年6月】 パリ五輪代表候補最終メンバー16人が発表。八村がホーバス体制で初招集。下旬の強化合宿で東京五輪以来の代表合流。代表復帰にあたり「東野さん、ホーバス監督がLAにきて、何回か会いました。そこでミーティングで、これからどういうふうにやっていくのか決めました」とした上で「昔は僕が一番年下だったのが、上の方になってきました。そういう中で年下の選手に影響を与えられたら」と意欲。
【24年7月3日】 有明アリーナで男女日本代表のパリ五輪壮行イベントが実施。八村はコンディション調整で欠席
【24年7月5日】 日本協会が同日と7日に行われる韓国戦について、八村塁が「コンディション調整を優先」のため欠場することを発表。試合開始1時間半前の異例の発表となった。八村はウォーミングアップに姿をみせ、ダンクなどで観客を沸かせる。
【24年8月】 パリ五輪1次リーグ第2戦フランス戦で八村は24得点をマークも2度のアンスポーツマンライクファウルを取られて退場に。3戦目のブラジル戦を前に左ふくらはぎの怪我のため、チームを離脱。
【24年11月13日】 八村が河村勇輝が所属するグリズリーズ戦後に、日本代表について言及。「日本代表のやり方というか、あまり僕としてはうれしくないところがある」とし、強化面で「お金の目的があるような気がする」と指摘し、ホーバス監督が続投した代表について「僕らは日本の男子のトッププレーヤー。日本代表にふさわしい、男子のことも分かっている、プロとしてもコーチをやっていたことがある、そういう人がコーチになってほしかった。今回、そういうふうになってしまったのは僕としても残念」と苦言を呈す。
【24年11月20日】 日本協会の渡辺信治事務総長が取材対応。八村の発言について「非常に重く受け取っている。ミスコミュニケーションがあった」と説明。八村が7月の韓国戦には出場できないと聞いていたものの「可能なら出ていただけるんじゃないかなという希望的観測があった。チケットは完売しており、そこに八村選手を商業目的で引っ張ったつもりはなかったが、もしかしたらそういうところもミスコミュニケーションだったかなと」とした。その上でホーバス監督の続投については「体制に変更はない」とした。
【24年11月23日】 八村が日本協会の対応を受けて23日に改めて発言。「プレーヤーファースト(選手第一)の精神が見られない。そういう方針の日本代表ではプレーしたくないし、そういう団体とはやりたくない。日本代表はお金も必要、活動費が必要だと言っているが、その活動費がどこに使われているのかという話。僕からすれば、プレーヤーファースト(選手第一)ではなく、自分たちの利益になることを先にやっている。日本代表のレベルを上げたいという気持ちでやってきた。僕の発言があった後、日本協会の内部の人や、以前に働いた人も含めて僕に連絡してきて『賛成だ。そういうふうにしか見えない』と。やり方がおかしいのは昔から言われていたらしいけど、誰も言っていなかっただけ」と不信感をあらわにした。「本当に日本のバスケのためを思って言っている」と強調した上で、ホーバス監督については「練習のやり方、ミーティングも世界レベルではないんじゃないかと思う。日本協会の上の人たちが世界レベルのコーチを選んだという話をしていたが、そもそもその人たちが世界を見たことがない。おかしいのではないか」と手腕や選考過程も疑問視した。代表への思いについては「もちろん日本代表ではやりたい」と即答したものの「それは彼ら次第。僕らも代理人を通して、ずっとどうすべきかということを言っているのに、(協会は)フォローしたくない(取り入れたくない)んですね。自分たちのやり方があるんでしょう。僕はずっとそれを我慢してやってきている」と怒りを滲ませ、2028年ロサンゼルス五輪出場については「それは(どうなるか)もう分からない」とした。