2024年シーズンWRC第13戦ジャパンは、11月24日(日)に最終日の5SSを走行、トヨタのエルフィン・エバンスが優勝、2位にはセバスチャン・オジエ、3位にはMスポーツ・フォードのアドリアン・フルモーが入った。エバンスは昨年のラリージャパ…

2024年シーズンWRC第13戦ジャパンは、11月24日(日)に最終日の5SSを走行、トヨタのエルフィン・エバンスが優勝、2位にはセバスチャン・オジエ、3位にはMスポーツ・フォードのアドリアン・フルモーが入った。エバンスは昨年のラリージャパン以来の勝利となり、キャリア9勝目。勝田貴元は表彰台目前の4位で完走。ドライバーズタイトルはティエリー・ヌービルが獲得、マニュファクチャラーズタイトルは2点差でヒョンデを上まわったトヨタが獲得している。

この日は、豊田市と岡崎市に広がる山間部の5SS、SS走行距離70.57kmが主な戦いの舞台となった。前日までの総合順位は、首位タナック、38秒差の2番手にエバンス、2分10秒9差の3番手にオジエ、2分19秒1差の4番手にフルモー、フルモーの背後6.1秒という僅差の5番手に勝田がつけている。

この日最初のSS17は『Nukata(20.23km)』。ドラマは突如として起こった。フィニッシュ目前の19.1km地点でアンダーステアを出してなんとロールオーバー、コースに復帰することは叶わず、そのままリタイアする事態に。この時点でヌービルのドライバーズチャンピオンが確定した。ベストタイムをマークしたのは、最終日のために前日午後の走行を取りやめたヒョンデのアンドレアス・ミケルセン。これで総合順位もひとつずつ繰り上がり、エバンスが首位、2番手にオジエ、3番手フルモー、4番手勝田というオーダーとなった。このSSでは、WRC2に出場していたヘイキ・コバライネンもタナックと同じ場所でクラッシュを喫し、リタイアの憂き目に遭っている。



続くSS18『Lake Mikawako(13.98km)』は、パワーステージとしても使用されるコース。ここではチャンピオンを獲得し「プレッシャーから解放された」ヌービルがベスト。SS2番手にミケルセンが続いた。ヒョンデとしてはタナックを欠いたいま、2台の働きにかかっている。総合3番手のフルモーと4番手の勝田はわずかに広がり、12.2秒。

SS19はSS17の再走SS。ヌービルとオジエが同タイムの一番時計をマーク。僅差のSS3番手にはミケルセンがつけた。前を行くフルモーを追いたい勝田はSS6番手となり、ふたりの差はわずかに広がり、12.6秒となった。サービスを経て、ラリーはSS20の豊田スタジアムのスーパーSSへ。ここでは勝田がベストタイム。SS2番手にはフルモーが入り、勝田との差は12.3秒となった。



そして迎えた最終ステージのSS21。まずはWRC2部門の上位陣がコースイン。クラス2番手のサミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー2)に対して1分34秒3のリードを築いていたニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)が、快走を見せてフィニッシュ。WRC2での今季3勝目を獲得した。クラス2位にはパヤリが入り、WRC2の逆転チャンピオンを確定させた。3位には、シュコダ・ファビアR5をフィニッシュまで運んだ新井大輝が入っている。

ラリー1勢はミケルセンからスタート。パワーステージの1-2を達成すべく果敢にアタックしたものの、左コーナーでアウト側にはみ出し、右フロント部分を破損することに。このアクシデントによりタイムロスを喫してしまい、ミケルセンはフィニッシュ地点でチームに申し訳ないとガックリ肩を落とした。続いてコースインしたヌービルはミケルセンのタイムを上まわり暫定ベストタイムをマーク、フィニッシュには初戴冠を祝う応援団が詰めかけ、マシンから降りたヌービルはルーフに駆け登り、コ・ドライバーのウィダグとともに雄叫びを上げた。

暫定SS3番手タイムのグレゴワール・ミュンステール(Mスポーツ)を挟み、勝田がコースイン。勝田はヌービルに次ぐ暫定SS2番手タイムでフィニッシュし、4位以上を確定させた。残すはフルモーとオジエ、エバンスのトップ3。先にコースインしたフルモーは危なげなくフィニッシュして、3位以上を確定。今季5度目のポディウムフィニッシュを手中に収めた。



今季ここまでラリー終盤での不運が続く場面もあったオジエは、8度の世界王者を獲得した貫録を見せてきっちりとベストタイムをマーク。上位陣最終走者のエバンスも、SS3番手タイムでフィニッシュ。昨年のラリージャパン以来となる、通算9勝目を獲得した。フィニッシュ地点ではオジエも祝福に訪れ、4人でGRヤリス・ラリー1のルーフに上がって勝利を祝福した。これで、TGR-WRTの逆転マニュファクチャラーズタイトルが確定。トヨタのマニュファクチャラーズタイトルは4年連続、通算8度目(1993-94、99、2018、21-24)となる。

最終SS終了時点での総合順位はエバンス、オジエ、フルモー、勝田、ミュンステール、ヌービルというトップ6。パワーステージはオジエ、ヌービル、エバンス、勝田、ミケルセンがトップ5に入り、それぞれボーナスポイントを獲得した。ドライバーズランキング上位はチャンピオンのヌービルが242ポイント、2位エバンスが210ポイント、3位タナックが200ポイント、4位オジエが191ポイント、5位フルモーが162ポイント、6位に勝田が116ポイントで続いた。マニュファクチャラーズポイントはトヨタが561点、ヒョンデが558点、Mスポーツ・フォードが295点となっている。



次戦は2025年1月23日〜26日に開催されるラリーモンテカルロ。毎年恒例&伝統のオープニングラウンドだ。フランス南部の山岳地帯を舞台に、繰り広げられる。24年はヌービルが勝利を挙げている。

WRCラリージャパン 暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 3:23:41.0
2. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:27.3
3. A.フルモー(フォード・プーマ・ラリー1ハイブリッド) +1:55.5
4. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +2:02.6
5. G.ミュンステール(フォード・プーマ・ラリー1ハイブリッド) +3:11.5
6. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +6:54.1
7. N.グリアジン(シトロエンC3ラリー2) +10:04.3
8. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +11:50.8
9. 新井大輝(シュコダ・ファビアR5) +13:24.3
10. G.グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +14:15.8