【このレースで引退の"ディープインパクト最後の大物"】 11月24日(日)、東京競馬場で3歳以上馬によるGⅠジャパンC(芝2400m)が行なわれる。 1着賞金が5億円と、有馬記念と並ぶJRA最高賞金の国際競走なだけに、今…

【このレースで引退の"ディープインパクト最後の大物"】

 11月24日(日)、東京競馬場で3歳以上馬によるGⅠジャパンC(芝2400m)が行なわれる。

 1着賞金が5億円と、有馬記念と並ぶJRA最高賞金の国際競走なだけに、今年は国内外のビッグネームが集結。日本からは、前走のGⅠ天皇賞・秋で日本調教牡馬初の4年連続GⅠ制覇を果たし、エースとして外国馬を迎えるドウデュースなど7頭のGⅠ馬が出走する。


今回が引退レースとなるオーギュストロダン

 photo by スポニチ/アフロ

 海外からは、昨年のGⅠ英・愛ダービー馬オーギュストロダン、今年の英GⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを勝ったゴリアット、昨年のGⅠ独ダービーを勝ったファンタスティックムーンと、3頭のGⅠ馬が出走。近年は大物外国馬の来日が少なかったが、今年は久々に役者が揃った感がある。

 血統的視点からレースを占っていこう。このレースの種牡馬別成績を見ると、最多の4勝を誇るのはディープインパクトだ。34戦4勝、2着5回、3着3回。勝率11.8%、連対率26.5%、複勝率35.3%と、勝利するだけでなく複勝率も高い数字を残している。産駒の出走は2年ぶりとなるが、2020年はコントレイルが2着、2021年はコントレイルが1着でシャフリヤールが3着、2022年はシャフリヤールが2着と連対を果たしている。

 今年はオーギュストロダン、ジャスティンパレスと2頭のディープインパクト産駒が出走予定。オーギュストロダン(牡4歳、愛国・A・オブライエン厩舎)は昨年の英・愛ダービー馬だ。

 世界のダービーのなかでもっとも権威があると見られているGⅠ英ダービー(芝約2410m)の勝ち馬で、ジャパンCに出走したのはこれまで3頭。1992年ドクターデヴィアスが7番人気10着、クエストフォーフェイムが6番人気11着、1999年ハイライズが7番人気3着と、勝利している馬はいない。ただ、この馬にとって大きなポイントとなるのは、昨年にアメリカで行なわれた米GⅠBCターフ(芝約2400m)のほか、8F(約1600m)、10F(約2000m)のGⅠを勝っている点だ。

 欧州と日本は芝質も路盤も大きく異なるため、両方で結果を残すのは簡単ではないが、アメリカは日本の芝に近い芝質と路盤でスピードが求められる。そのため、アメリカや2000m以下の距離で結果を残しているのは非常に心強い。前述のクエストフォーフェイムも、アメリカでGⅠ2勝を含む3勝という実績はあったが、当時6歳の同馬はピークを過ぎており、調子を崩しての参戦だった。

 それに対しオーギュストロダンはまだ4歳。早くから「今回が引退レース」と決定しており、9月14日のGⅠ愛チャンピオンS(芝2000m)で2着になって以来の実戦だ。管理するエイダン・オブライエン調教師は欧州のみならず、世界各国でGⅠを勝利している競馬史に残る名伯楽だが、ジャパンCへの7頭目の出走にして初めての来日。レース後にはオーギュストロダンの引退お披露目式が予定されており、かなりの勝算を持っての参戦だろう。

 オーギュストロダンは血統を見ても、日本向きのスピードが期待できる血統構成だ。母ロードデンドロンはイギリスとフランスで芝・約1600m~約2000mのGⅠを計3勝。祖母ハーフウェイトゥヘヴンもアイルランドとイギリスで芝・約1600m~約2000mのGⅠを3勝している。このスピード血脈の優秀さが、幅広い距離やさまざまな競馬場で結果を残せている大きな要因だろう。"ディープインパクト最後の大物"に、そのすごさをあらためて感じさせてほしい。

【ジャスティンパレスも有力】

 一方のジャスティンパレス(牡5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)も有力だ。昨年のGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)勝ち馬だが、昨年のGⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)でもイクイノックスに次ぐ2着と2000mでも結果を残しており、2400mも当然合う条件だ。

 前走の天皇賞・秋は4着と敗れたが、出遅れて遅めのペースとなり展開が合わなかった。最近は後方からの競馬で脚を余すことも多いが、中団より前でも競馬ができる馬なので、うまくゲートを出られれば早めの競馬という戦法もありそうだ。鞍上のC・デムーロ騎手は2週前のGⅠエリザベス女王杯(京都・芝2200m)で3番人気のスタニングローズを操り、早め先頭から押し切った。ジャスティンパレスでの再現も可能だろう。

 紹介した2頭のほかには、ドウデュースも期待感が高い。ディープインパクト産駒2頭との名勝負が見られることを期待したい。