サッカー日本代表は、中国代表とW杯アジア地区3次予選で対戦し、3-1で勝利した。また本大会出場へと近づいた格好だが、今回の試合では、どんなプラス材料と今後、修正すべき問題点が浮かび上がったのか。年内最後の代表戦を終え、4か月もの間が空く次…
サッカー日本代表は、中国代表とW杯アジア地区3次予選で対戦し、3-1で勝利した。また本大会出場へと近づいた格好だが、今回の試合では、どんなプラス材料と今後、修正すべき問題点が浮かび上がったのか。年内最後の代表戦を終え、4か月もの間が空く次戦と、その後のW杯も見据え、ベテランサッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が徹底的に語り合った!
■決まっていた「森保監督のプラン」
――いろいろなテストも始まっているということでしたが、結果だけではなく、そうした意味も含めて、この11月シリーズは良いものになったでしょうか。
後藤「ケガ人が出てどうなるかな、と思っていたポジションに、これまでとは違う選手が入っても、うまく回った。その結果、いろいろ試すことにもつながったわけだよね」
大住「今回、初戦のインドネシア戦を1日遅らせて15日にした時点で、森保一監督はある程度、前線の選手を変えながら2試合を戦うというプランを組んでいたと思う。だから久保建英を初戦で使わなかったんだろうし、中国戦の先発もほぼ予想通りの顔ぶれになった。瀬古歩夢はちょっと予想できなかったけど、やはり伊東純也と中村敬斗を先発させていたよね。中国がピッチを狭くしたりと、いろいろなことをしてきたので苦労もしたけど、CKで先制できた」
後藤「7-0で勝った前回の中国戦も、点を取るまでけっこう時間がかかったけど、CKで1点取ったら大量点につながっていったね」
大住「あの試合も、前半アディショナルタイムに三笘薫のヘディングで追加点を奪った。さらに後半早々に3点目を決めたら、中国はボロボロになった。今回の中国は、1点を返したことで精神的に耐えたけど、足をつる選手が出るなど、最後は体力的にボロボロになっていた。今のサッカーは大変だよね。交代枠が増えたから、攻撃陣は最大で5人交代できるわけじゃない。でも守備陣は、いろいろなことを考えたら、あまり代えられない」
■勝点16「ほぼ予選突破は決まり」
後藤「日本代表のように、ボールを持って相手を動かし続けるような試合をしていたら、後ろの選手たちの体力も最後までもつだろうけどね。日本と対戦するチームのDFとすれば、とんでもないことだよ」
大住「今回の中国も、攻撃陣じゃなくて最終ラインを全員代えていたら、もうちょっと粘り強く守れたのかな」
後藤「アジアでは、日本と対戦するチームの交代枠を増やさないといけないくらいの差があるね」
大住「これからの代表チームの論点は、もちろんワールドカップ予選の残り4試合を戦いながら、ワールドカップ本大会に向けての準備をしていくことになる。森保一監督が言うように、優勝を本気で狙うなら、運が手伝ってくれれば、もしかしたら本当に優勝できるかもしれないと選手全員が思えるようなチームづくりをいかにしていくかが論点になる」
後藤「ついに大住さんまで、そんな楽観的なことを言うようになったか」
大住「予選については、だよ。だって勝点16取ったんだから、ほぼ予選突破は決まりだよ」
■1位の日本以外「大混戦」の5チーム
後藤「本大会出場は、予選が始まる前から決まっているようなものだったよ」
大住「そんなことないよ。今回のシリーズのインドネシア戦だって、鈴木彩艶が序盤のピンチを防いでいなかったら、勝利という結果が変わったとは思わないけど、全然違う試合内容になって、もっと消耗したかもしれない」
後藤「1試合ごとに目を向ければ、90分の間にはいろいろなことが起こり得る。だけど、すべての試合で隙を見せずに勝ちを重ねていることは本当にすごいと思うよ。でも予選全体を考えたら、10試合戦えば、最後は当然日本が本大会に行くでしょう」
大住「今回の中国もスコアが1-3になったのに、バランスを崩してでも無理して攻めるということを全然しなかったもんね。大敗しなければいい、という感じだった」
後藤「それもあるだろうね。何しろ、日本に勝点9離されて、2位のオーストラリアが勝点7、残る4チームはすべて勝点6、という大混戦なんだから。日本に負けても、大敗しなければいいんだよ」
大住「自分たちだけじゃなく、他のチームもそろって日本に負けているからね」
後藤「日本以外の5チームでリーグ戦をやっているようなものだね。スリリングでいいなあ。1週ごとに大きく一喜一憂していた1997年のフランス・ワールドカップ予選が懐かしいよ」