「大相撲九州場所・12日目」(21日、福岡国際センター) 20日に死去が明らかになった元横綱で解説者の北の富士勝昭さんをしのび、幕内力士はそれぞれの思いを持って土俵に上がった。大関琴桜は関脇大栄翔を下し、首位をキープ。大関豊昇龍も小結正代…
「大相撲九州場所・12日目」(21日、福岡国際センター)
20日に死去が明らかになった元横綱で解説者の北の富士勝昭さんをしのび、幕内力士はそれぞれの思いを持って土俵に上がった。大関琴桜は関脇大栄翔を下し、首位をキープ。大関豊昇龍も小結正代を退けて1敗を守った。トップを並走していた平幕隆の勝は、関脇霧島に痛恨の黒星を喫し、2敗に後退した。
悲願の初賜杯へ、琴桜が1敗を堅守した。立ち合いでもろ差しが入らないと判断すると、攻め手を変更。大栄翔の動きを冷静に見ながら、突き押しで応戦し、最後は左のど輪で押し切った。直近3連敗中だった相手を下し、4日目から9連勝。「対応できた。目の前の一番に集中できている」と汗を拭った。
特別な思いで土俵に上がった。20日に死去が明らかになった北の富士さんは第52代横綱。祖父である先代琴桜は第53代横綱。同時代に土俵を沸かせていた。そんな縁もあり先代の孫である琴桜は、北の富士さんに会うたびに声をかけてもらっていた。
取組を解説される番付に上がり、直接会う機会が減ってからも、師匠の佐渡ケ獄親方(元関脇琴ノ若)に「息子の調子はどうだ」と話し、毎場所で気に掛けてくれていたという。歯に着せぬ解説で人気を集めていたが、琴桜自身は辛口評価を受けた覚えが少ない。「先代と歳が近くて、孫のように気に掛けてくださっていたのかなと。自分には優しかったんじゃないかな」と笑った。
北の富士さんとともに最高位に立った祖父のしこ名を継いだ力士として、今場所にかける覚悟はさらに増す。大関昇進披露宴は療養のため出席不可となり、北の富士さんに晴れ姿を見せることができなかった。残りは3番。13日目は隆の勝戦が組まれ、残りは大関対決が想定される。「同じ時代を闘った先代の名前を継いだ立場。土俵にそういうのは持ち込まないけど、いい報告を届けられたら」。初Vで琴桜の名を天国まで響かせる。