バスケットボール男子の2023年W杯日本代表で、「りそなBリーグ」の千葉Jに所属する原修太が21日までにNBAを放送、配信するWOWOWのインタビューに応じ、八村塁(レイカーズ)、河村勇輝(グリズリーズ)の日本人プレーヤーの活躍から、今シ…
バスケットボール男子の2023年W杯日本代表で、「りそなBリーグ」の千葉Jに所属する原修太が21日までにNBAを放送、配信するWOWOWのインタビューに応じ、八村塁(レイカーズ)、河村勇輝(グリズリーズ)の日本人プレーヤーの活躍から、今シーズンの注目まで語った。
―今シーズンのレイカーズは、レブロンが一歩下がった形で、アンソニー・デイビス(AD)が中心に据えられていますが、印象はいかがでしょうか。
「ADが健康な状態でいさえすれば・・・(勝てる)。去年も一昨年も、ずっとそうなんですけど、そこが心配です。レイカーズはクリスチャン・ウッドなどもケガをしているので、選手のケガだけが心配な点です。
あとは、レブロンがボールを持つ時間もありますが、そうじゃない時、セットプレーの中でオフボールで動いたりとか、オフボールからレブロンが1対1をしたりとか、そういった違った面がでてきています。レブロンはアシストも(1試合平均)9本以上記録しています。彼のアシストが増えているというのはレイカーズにとって良い傾向だと思います」
―レブロンは肉体的には当然、衰えてきている中でそれをカバーできているのはなぜなのでしょうか。
「IQの高さだと思います。クリス・ポールもそうですが、アシストのうまさ、ポジショニング、あとは「チームメートに誰々がついているからそこにパスをしよう」など、そのような判断力がレブロンは長けているなと思います。見ている人がわからないようなズレとかミスマッチを見逃さずにそこにパスを供給する。だからアシストが増えるのだと思います。それに、ジャンプ力は衰えている感じはありますが、トランジションに参加した時のパスや推進力、突破力は変わらずすごいですよね」
―八村選手は今シーズン、3ポイントシュート(3P)を高確率で決めるなど好調です。彼のパフォーマンスについてはどう見ていますか。
「ワシントン・ウィザーズの時にはポストプレーが多かった印象でした。レイカーズに来てからはパスをもらってからの判断やシュートを決めきる力は良くなりましたし、効率の良い選手になったなという印象です。
ただ、これは本人の課題なのか、チームとして打つ機会が少ないだけなのかはわからないんですけど、3Pはもっと打ってもいいのかなと感じます」
―となると、まだ伸びしろはあるというところですね。
「そうですね。オースティン・リーブスが今、サードオプションになりつつあるので、その次の、4番目、5番目の選手が効率よく15点、20点を取る試合があれば、レイカーズはもっと強くなると思います」
―今シーズンがNBA2年目のウェンバンヤマ(スパーズ)についてはどう見ていますか。
「皆さんも見ていて思っているでしょうが、3Pが打てるだけではなく、ハンドリングなどのスキルがあるので、驚異的ですよね。3Pがもっと入るようになったら止めようがないと思います」
―今シーズンはなんといっても河村選手が話題となっています。原選手は彼のNBAデビューについて率直にどう感じていますか。
「僕、実はBリーグで彼から1度、スティールしているんですよ(笑)。だから彼がもっと有名になってもらえればうれしいですね。河村選手とは彼が福岡第一高校にいる時に対戦していて、その頃からすごい高校生だなとは思っていたんですけど、どちらかといえば当時はアシストがメインの選手で、まさかNBAに行くとは思ってもいませんでした」
―また、エグジビット10契約(無保証の最低年俸でトレーニングキャンプに参加できる)から2way契約(NBAチームとその傘下にあるGリーグチームの両方でプレーができる)を勝ち取ったのも驚きでした。本人も言っていましたが、たどり着くのにはもう少し時間がかかるのかなと思っていました。
「河村選手は、パフォーマンスもさることながらチームメートやグリズリーズを中心としたファンからも人気がありますね。いいことだと思います。プレー時間が短いだけで、彼の実力が追いついていないとは僕は思わないです。彼の性格も知っていますが、彼だから皆んなから応援され、ジャ・モラント(グリズリーズのエース)にも気に入られたのではないでしょうか。彼がつかみ取った人気なのですごくポジティブにとらえています。ファンが試合の最後に『(河村を試合に)出せ』と言ってくれるのも、彼にチャンスを与えるきっかけになるので、すごく良い方向に行くんじゃないかと思います。それに、あれだけ急激に人気が出ても彼は態度が変わったりしないですし、あの性格なら大丈夫じゃないでしょうか」
―以前のインタビューで原選手はマーカス・スマートが好きで、そこから彼が当時所属していたボストン・セルティックスも好きになったとおっしゃっていました。河村選手はスマートのいるグリズリーズに加入しましたね。
「河村選手の渡米前のイベントのときに『マジでマーカス・スマートのこと好きだから、どんな人か教えて』という話はしておきました(笑)。河村選手が日本に帰ってきた時などにちょっと聞いてみようかなと思います。うらやましいですよね」
―Bリーグを経てNBAに行った選手は河村選手が第1号となりました。間近で見ていた選手がNBAへ行ったことで、原選手やBリーグでプレーする選手たちにとってもNBAを身近に感じるようになったということはありますか。
「身近・・・でもなくやっぱり遠いというか、NBAはすごいところです。ただ、河村選手がBリーグから行ったことで、道を切り開いてくれたなと思います。河村選手はBリーグで経験を積んで活躍をし、結果を残した。そのことでNBAに行くチャンスができて、NBA側もちゃんと見てくれているというのがわかったので、よりもっとBリーグで活躍したいという気持ちは芽生えました。Bリーグ自体がより盛り上がったらNBAのスカウトも見てくれるということもあるかもしれません。僕が所属する千葉ジェッツのトレヴァー・グリーソンヘッドコーチ(元トロント・ラプターズ、ミルウォーキー・バックスのアシスタントコーチ)もそうなんですけど、NBAからBリーグに来てくれる人たちから話を聞いたりすることでNBAがどういうところかを知ることができているのは良い変化なんじゃないかと思います。グリーソンHCから『NBAではトランジションでこの数字を目指している』と教えてもらったり、シューティングの時に『NBAではこうだから、もっと強度高くやってほしい』と伝えられたりもします」
―今年の千葉ジェッツには昨シーズンまで6年間、NBAでプレーをしていた渡辺雄太選手も加入しました。
「彼には『NBAのあの選手ってどんな感じなの?』とか、気軽に聞いたりはします。オクラホマシティ・サンダーのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのことで、『(画面越しに)見ていると身体が細く感じるのになんであんなに点を取れるんだ』と雄太に聞いたら、『実際の彼はめちゃくちゃ身体が強いんだ』と言われました。『ケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)も細く見えるけど前腕の力が尋常じゃなくてハイタッチが痛い』とか、そういうのを聞いて、NBAの選手もちゃんと身体作りをしているんだなと感じました」
―八村選手・河村選手がNBAでプレーすることで、これまであまりNBAに馴染みの無かったファンでNBAが気になっている方は多いのではないでしょうか。そのようなファンの方たちへ向けてNBAの魅力をどのように伝えますか?
「Bリーグもどんどん試合のテンポが早くなっているとはいえ、NBAのオフェンスの速さ、試合展開の速さというのは(見ていて)すごく楽しいと思います。また、選手たちのスキルや、やっぱり世界最高峰リーグなので能力が高くてプレーがすごく派手で見ていて楽しいというのが良さなのかなと思います。僕は、NBA選手たちのファッションを見るのも好きで、彼らは私服も超おしゃれだし、スタイリストをつけているらしいので、そういう観点での楽しみ方もあるんじゃないでしょうか」
―まだシーズンが開幕してからそれほど経っていませんが、原選手が今シーズン、注目しているチームはどういったところですか。
「ボストン・セルティックスが好きなので、当然、まずはボストンを挙げます。それ意外だと今年はクリーブランド・キャバリアーズがすごくいいので、注目しています。また、スマートと同じように身長がそこまで大きくないけど、華麗に相手を抜かず、ほとんど突っ込んでるような荒々しいプレーをするジェイレン・ブランソンのいるニューヨーク・ニックスも気になっています。ニックスは、カール アンソニー・タウンズがミネソタ・ティンバーウルブズからトレードで移籍してきて、頑張ってほしい、報われてほしいなと思います。西は、いいチームが多くて難しいですよね。先ほども話していたスパーズも面白いですし、ゴールデンステイト・ウォリアーズも面白い。僕、ウォリアーズのバディ・ヒールドが結構、好きで、彼がめちゃくちゃフィットしていて興味深いです」
―東西の優勝チーム予想もお願いします。
「東はやはりセルティックス。対抗馬はニックス、キャバリアーズですね。あとは正直どうなるかわからないですけど、76ersとバックスがどこまで盛り返してくるのか。今は低迷していますけど、楽しみですね。西はサンダーなんですけど、無難すぎますかね(笑)?けが人がいなかったらレイカーズも入れておきたいです。あとはもちろんナゲッツ。実は、チームメートと順位予想し合っています。僕は、西をサンダー、ナゲッツ、サンズで、東はセルティックス、ニックス、キャバリアーズの順にしてます」
―今日お話いただいた西の注目チーム、レイカーズとナゲッツが24日に対戦し、WOWOWで生中継します。最後に、この試合の見どころを教えていただけますか。
「レイカーズがナゲッツを超苦手としているじゃないですか。昨シーズンのプレーオフでも20点差をひっくり返されて負けてしまいました。本当に相性が悪いんだなって思います。またレイカーズはインサイド陣にケガ人が多いので、誰がヨキッチにつくのかも気になります。デイビスがつくことになるとは思いますが、ファウルトラブルになってしまったらどうするのか。八村選手はこれまでヨキッチを守る時、良かったじゃないですか。だから彼がついたときにどうなのかも楽しみですね。ナゲッツは、ウェストブルックにも注目しています。最近、スタメンになって調子が良いようですが、彼はクリッパーズにいた時に自分の立場を受け入れて、どんどんロールプレーヤーになっていってる感じがします。そのように役割を理解している選手がいるチームは強いですよね」