11月17日に行われた『U18日清食品トップリーグ バスケットボール競技大会2024』の第1試合、八王子学園八王子高校(東京…

 11月17日に行われた『U18日清食品トップリーグ バスケットボール競技大会2024』の第1試合、八王子学園八王子高校(東京都)のエースは“いつも通り”のプレーで国立代々木競技場第二体育館を沸かせた。

 京都精華学園高校(京都府)との最終戦にスタメン出場した十返翔里(3年)は、スティールからコースト・トゥ・コーストでレイアップを沈め、192センチの身長と跳躍力を生かして相手のシュートをブロック。第2クォーターにはパスカットから軽々と両手でダンクを叩き込んだ。

 十返は約30分のプレータイムで21得点を稼ぎ、9リバウンドに6アシスト、スティールとブロックショットも2つずつ記録して勝利に貢献。もう1人の得点源である平原侑真(3年)も21得点9アシストの活躍を見せ、八王子学園八王子は最終スコア86−57の快勝で締めくくった。

 八王子にとっては今回が初となるトップリーグの舞台。結果は3勝4敗で8チーム中6位。しかし、初戦の開志国際高校(新潟県)戦では十返が不在の中で白星をつかみ、インターハイ王者の東山高校(京都府)には十返が両チーム最多となる28得点をマークして1点差の勝利を収めた。

「自分は5試合しか出れませんでしたけど、トップリーグを通してステップアップできたと思っています。僕がいなくても開志国際に勝てたことはチームにとってプラスですし、セカンドユニットもいい経験を積むことができたので他のメンバーにも純粋に自信を持ってほしいと思います」

 今シーズンのトップリーグがスタートし、最初2連戦が行われた9月初旬、十返はヨルダンにいた。U18日本代表の一員として「FIBA U18アジアカップ2024」に出場したためだ。8日間で7試合を戦い抜いたこの大会では、1試合平均19.9分のプレータイムで同4.7得点。八王子では絶対的存在として君臨するが、代表活動や国際舞台では自らの存在をアピールしきれなったと十返は振り返る。

「代表では一人ひとりの気持ちが強いですし、みんなリーダーシップがあるので刺激をもらいました。対戦した相手も日本では味わえないようなアグレッシブさがありましたし、自分ももっと練習中からハードにプレーしなければいけないという気持ちになりました。あまり通用しなかったですけど、本当にいい経験させてもらったので、今の自分のステップアップにはつながっています」

 それでも、アジアカップ後に出場したトップリーグでは、持ち味の得点力を発揮して平均23.6得点を記録。得点ランキング1位の数字を残すとともに「BEST5賞」にも選出された。

 表彰式を終えたあとには、「素直にうれしいです。昨日の練習でも伊藤(純希)先生に『明日の試合で頑張れば得点王だぞ』って言われていたので狙っていましたし、点を取ることを意識してプレーしていました」と笑みを浮かべた。

 1カ月後には、十返ら3年生たちにとって高校最後の大舞台『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』が控える。夏のインターハイでは第2シードの位置から日本一を目指すも、わずか2試合で大会を去った。

「チーム全員が笑って終われるような大会にしたいと思っています。僕個人としても日本中にインパクトを与えるプレーをしたいです」。高さと速さ、そして決定力を兼ね備えた世代屈指の点取り屋は、冬の全国でも躍動感あふれるプレーで多くのハイライトを残してくれるに違いない。

「次は絶対に負けたくない」。悲願の日本一へ向け、エースの闘志は変わらず燃え続けている。

文=小沼克年

スティールからボースハンドダンクと十返翔里が躍動