若武者の強心臓ぶりに驚いた。11月5日に豪州のフレミントン競馬場で行われたメルボルンC。同じ豪州のコーフィールドC13着から転戦となったワープスピードの背中には、2戦連続の手綱となった菅原明良騎手がいた。2日には米国・デルマー競馬場のブリ…

 若武者の強心臓ぶりに驚いた。11月5日に豪州のフレミントン競馬場で行われたメルボルンC。同じ豪州のコーフィールドC13着から転戦となったワープスピードの背中には、2戦連続の手綱となった菅原明良騎手がいた。2日には米国・デルマー競馬場のブリーダーズCスプリントでメタマックスに騎乗(8着)し、そのまま豪州へ。現地で対策を練り、勝負の時を待った。「何度も乗っているし差せるイメージを持っていました」。レースはゴール前で首の上げ下げでわずかに及ばず2着。だが、日本で重賞を勝ったことがないワープスピードにとっては大健闘といえる結果だった。

 菅原明良騎手は冷静だった。23頭立てとそれまで経験がないであろう超多頭数のなか、道中インでためた脚を最後の直線で一気に解き放ち、馬群を縫ってさばききった鞍上の好リード。どんな心境だったのか尋ねると「どこで乗ってもやることは変わらないですね。あの馬は下がってくる、あの馬の後ろはいけそうとか。イメージ通り伸びてくれました」。自信たっぷりのコメントから宝塚記念で自身G1初制覇を果たし、騎乗ぶりにさらに磨きがかかっていることを再確認した。

 豪州の“競馬の祭典”の空気感は格別だったようだ。「日本にはないぐらいすごい華やかで、みんながすごく楽しんでいて歓迎されている感じでした」と現地の盛り上がりを絶賛した鞍上。「また行きたいと思いました。本当にたくさんの方々に会ってサポートしていただいたことを実感しています」。貴重な経験を重ねる23歳のさらなる飛躍を期待したい。

(中央競馬担当・石行 佑介)