11月21日と24日に行われるFIBAアジアカップ2025予選 Window2にて“再始動”する男子日本代表。その直前合宿に…
11月21日と24日に行われるFIBAアジアカップ2025予選 Window2にて“再始動”する男子日本代表。その直前合宿にはホーバスジャパン未出場の選手も多数召集された。新戦力として期待される彼らはそれぞれどのような選手なのか。その経歴からプレースタイルまで、各選手の特徴を徹底紹介する。
文=永塚和志/バスケットボールキング編集部
写真=伊藤大允
※プロフィール情報は11月15日時点
▼アレックス・カーク
生年月日:1991年11月14日(33歳)
ポジション/身長・体重:C/211センチ・114キロ
所属:琉球ゴールデンキングス
NBAやヨーロッパの強豪、アナドル・エフェス(トルコ)などに所属後、Bリーグ2年目の2017-18シーズンから日本でプレーをするベテランビッグマンで、アルバルク東京在籍時には2度のリーグ制覇を経験している。シュートレンジはさほど広くはないものの、インサイドで圧倒的な強さを誇り、リバウンド抜群の働きを見せる。オフェンスリバウンドも多く、味方が躊躇なくシュートを打つ心理的手助けをしていると言える。
2020-21シーズンには腰椎椎間板外側ヘルニアの手術を受け、かつての輝きはやや鳴りを潜めたかに思われたが、今シーズンの琉球ではベンチからの出場ながら3年ぶりに平均得点を2ケタに乗せるなど、健在ぶりを示している。2024年1月に帰化が認可され、今回初めて日本代表候補となった。2013年のユニバーシアードにはアメリカ代表として出場をしている。
文=永塚和志
▼山崎稜
生年月日:1992年9月25日(32歳)
ポジション/身長・体重:SG/183センチ・80キロ
所属:広島ドラゴンフライズ
高校卒業後、漫画家・井上雄彦氏創設の「スラムダンク奨学金」の奨学生としてアメリカに渡り、サウスケントスクール(プレップスクール)とタコマ・コミュニティ・カレッジでプレー。その後、日本でプロとなりさいたまブロンコスや群馬クレインサンダーズに所属後、2023-24シーズンからは広島ドラゴンフライズに移っている。
広島では明確なシューターの役割を与えられたことで才能が開花。チャンピオンシップ(CS)では、ワンモーションから放つ3ポイントを56パーセントという脅威の確率で決め続けた。前年王者・琉球ゴールデンキングスとの対戦となったファイナルでは3ポイントを16本中9本ねじ込むなど、同チーム初のリーグ制覇に大きく寄与し、自身はCSのMVPに選出された。愛称はゲームのキャラクターから「ノコノコ」。空いたら打つ代表のスタイルはやりやすいと話している。
文=永塚和志
▼牧隼利
生年月日:1997年12月14日(26歳)
ポジション/身長・体重:PG・SG/188センチ・88キロ
所属:大阪エヴェッサ
福岡大学付属大濠高校、筑波大学と名門に所属し、その後は琉球ゴールデンキングスでプレー。今シーズンは大阪エヴェッサへ移籍。琉球では原則、ベンチから出てくる役割を担っていたが新天地では先発での出場が大半となっている。平均出場時間はプロ入り後最多となり、それに伴って大半のスタッツで自己最高を記録している。
シューティングガードが主なポジションだがボールハンドラーも担うことができ、アシストの能力も高い。フットワークを生かしたディフェンスにも長け、コーチからすれば使い勝手が良く、代表ではコンボガードの役割を担うことになりそうだ。日本代表はU16やU22といったアンダーカテゴリーのメンバーを経験しており、2017年にはU17ワールドカップに出場し八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)に次ぐ平均10.3得点を記録した。
文=永塚和志
▼大浦颯太
生年月日:1997年12月23日(26歳)
ポジション/身長・体重:PG/182センチ・76キロ
所属:三遠ネオフェニックス
パリ五輪前のディベロップメントキャプに引き続き、三遠ネオフェニックスのポイントガードとして同じポジションの佐々木隆成とそろって今回の代表候補に選ばれた。昨シーズンは故障で、欠場した佐々木の穴を埋める活躍でチームの躍進に貢献。元々、視野の広さからくるパスセンスに定評はあったものの、今シーズンは全試合ベンチからのスタートながら平均得点をキャリアで初めて2ケタに乗せている。
3ポイントの試投数はB1で7位となる平均6.1本を放ち、成功率も38.8パーセントと高確率をマーク。ディープな場所からもねじ込むシュート力を備える。今回の代表活動ではコンボガードを担う。ディフェンス力も高く、三遠とスタイルの近いホーバスHCのバスケットボールとの相性は良さそう。当人はトランジションの展開で力量を発揮したいと述べている。
文=永塚和志
▼山口颯斗
生年月日:1998年10月1日(26歳)
ポジション/身長・体重:SG・SF/195センチ・90キロ
所属:長崎ヴェルカ
筑波大学時代にインカレで得点王に輝くなど、そのスコアリング能力の高さが注目されてきた山口颯斗。プロ入り後も順調に成長を続け、2023-24シーズンはキャリアハイとなる平均10.9得点をマークした。今夏加入した長崎ヴェルカでは、開幕からしばらくベンチスタートが主となっていたが、直近の4試合では先発に名を連ねるなど存在感を高めていた。
渡邊雄太(千葉ジェッツ)の不参加に伴い追加招集された今回の日本代表合宿は、山口にとって5月に行われたディベロップメントキャンプ以来の代表活動となる。得意のドライブやディフェンス、さらには今シーズン成功率45.7パーセントと好調の3ポイントなどオールラウンドな能力でアピールし、代表ロスターの座を勝ち取ることができるか。
文=バスケットボールキング編集部
▼角田太輝
生年月日:1999年9月28日(25歳)
ポジション/身長・体重:SG/182センチ・79キロ
所属:佐賀バルーナーズ
高いシュート力から来る得点力が売りで、所属する佐賀のB1昇格などから徐々にその名を知られるようになっている。ボールハンドリングとパスで優れた能力も兼備。先発ポイントガードを担うことも増えており、1試合で11アシストをマークしたこともある。サイズがそこまであるわけではないもののディフェンスにも長け、大学時代から取り組んできた前から相手に激しくマークする守備ができ、スティールも多い。今シーズンは3ポイントが成功率44.4パーセントと非常に安定している。
パリ五輪前の若手中心の合宿にも参加しているが、シュート力、ディフェンス、ポイントガードとしてもプレーができることを勘案すると、ホーバスHCの打ち出してきたスタイルのゲームに合う可能性は秘めている。
文=永塚和志
▼中村拓人
生年月日:2001年3月3日(23歳)
ポジション/身長・体重:PG/184センチ・79キロ
所属:広島ドラゴンフライズ
昨シーズン、寺嶋良の故障で先発起用となり、ポストシーズンでも下位シードのチームをけん引。前年王者・琉球とのファイナルでも3ポイントを50パーセントの確率で決めるなど、度胸あるプレーぶりで優勝に導いて、「日本生命ファイナル賞」を受賞した。
2017年にはFIBA U16アジア選手権、翌年のU18アジア選手権に日本代表として出場。2022年のディベロップメントキャンプにも参加しており、すでにホーバスHCの緻密なバスケットボールを体感している。日本人PGとしては体躯があり、フィジカルなプレーもできるところが売り。長距離シュートには課題を残すものの、トランジションの展開からのチェンジ・オブ・ペースの動きを使ってのドライブや、そこからのキックアウトパスなどで、目指してきた代表選手を狙いたい。
文=永塚和志
▼脇真大
生年月日:2002年3月11日(22歳)
ポジション/身長・体重:SG/193センチ・86キロ
所属:琉球ゴールデンキングス
白鷗大学で下級生の頃から主力を務め、21年度と昨年度はチームをインカレ優勝へと牽けん引。後者では大会の得点王とMVPにもなった。茨城ロボッツ、琉球ゴールデンキングスで特別指定選手としてプレーをし、今シーズンからは後者でプロ契約。開幕から全試合で先発出場を続けており、肉体の強さを生かしたディフェンス力と中へ切り込んでのオフェンスプレーなど、堂々たる働きぶりを見せている。
U19W杯の日本代表選考で落選の悔しさを味わっているが、当人いわくこれほど早くA代表に招集されるとは考えていなかったという。もっとも、呼ばれたからには次のW杯やロス五輪も狙っていく気持ちだ。代表定着には3ポイントの精度を始め課題克服が必須。昨年のディベロップメントキャンプでは技術向上のためのワークアウトに取り組んだ。
文=永塚和志
▼渡邉伶音
生年月日:2006年4月2日(18歳)
ポジション/身長・体重:C/204センチ・97キロ
所属:福岡大学附属大濠高校
中学時代から身長が2メートルを超え、千葉ジェッツU15を経て名門の福岡大学付属大濠高校でプレーする期待のビッグマン。昨年のウィンターカップではチームを準優勝へとけん引し、大会ベストファイブとなった。長身ながら3ポイントを得意とし、福大大濠では将来を考えてスモールフォワードにも取り組んでいる。3ポイントを多用しコートを広く使うオフェンスで知られる現状の日本代表のスタイルにフィットする可能性を大いに秘めており、体を強くすることに取り組む必要性はあるものの、ホーバスHCからはロス五輪を狙えると語っている。
代表はU17、U19のワールドカップを経験。昨シーズンは特別指定選手としてライジングゼファーフクオカで活動もしている。来月にはウィンターカップを控えるが、大濠の片峯聡太コーチからは代表で全力を尽くせという言葉をもらっている。
文=永塚和志