【アモイ(中国)17日=星野浩司】サッカー日本代表は26年北中米W杯アジア最終予選のアウェー中国戦(19日)に向け、当地で練習をスタートした。中国とのアウェー戦は9年ぶりで、過去には1点差勝利や引き分けなど苦戦も多く、悪質なラフプレーやサ…
【アモイ(中国)17日=星野浩司】サッカー日本代表は26年北中米W杯アジア最終予選のアウェー中国戦(19日)に向け、当地で練習をスタートした。中国とのアウェー戦は9年ぶりで、過去には1点差勝利や引き分けなど苦戦も多く、悪質なラフプレーやサポーター暴動など“洗礼”を浴びてきた歴史がある。直近は予選2連勝中で4位浮上と好調の相手を年内最後の代表戦で破り、24年を締めくくる。
森保ジャパンが“何かが起こる”敵地・中国戦に臨む。最終予選C組で首位を独走する日本は、過去に中国でさまざまなトラブルに巻き込まれてきた。9月の予選初戦はホームで7―0と大勝したが気は抜けない。当地で始動したMF三笘薫は「自分たちが圧勝したことで、相手も気合が入っている。(C組2位以下が)混戦なのでチャンスだと思ってくる。いい準備をしないと」と警戒。15日のインドネシア戦は無得点だったため「(前向きの)アクションの回数を増やすことや、最後のクオリティーを上げることが必要」と話した。
9年ぶりとなる中国開催の代表戦では、洗礼を浴びてきた。04年アジア杯は反日感情の高まりもあり、どの試合も“完全アウェー”での戦いを強いられた。中国との決勝は3―1で日本が勝利したが、試合後に中国サポーター数千人が暴動。日の丸を焼き払い、チームバスには投石行為が行われた。08年東アジア選手権(重慶、1〇0)ではラフプレーに苦しみ、試合後は選手バスが囲まれた。アウェーの通算成績は日本の4勝1分け2敗だが、ピッチ内外での想定外のトラブルに直面してきた。
日本協会によると、今回の開催地アモイでの代表戦は中国代表としても初。約6万人収容のスタジアムはチケットが完売したという現地報道もあり、今回も完全アウェーとなりそうだ。
3連敗でスタートした中国は、インドネシアとバーレーンに2連勝して息を吹き返した。順位こそ4位だが、オーストラリア、サウジアラビアと勝ち点6で並ぶ。クロアチア人のイバンコビッチ監督(70)は「選手たちが懸命に努力した結果だ。選手みんながヒーローだ」とチームの一体感を強調する。
日本は4―0で大勝したインドネシア戦後、16日にアモイ入り。中国より1日少ない中3日とあって、コンディション面では不利な立場にある。年内最後の一戦を勝利で飾るべく、万全の準備を整えたい。
〇…日本代表は17日、当地で冒頭以外を公開し、三笘薫、久保建英らが球回しなどで汗を流した。DF橋岡大樹はインドネシア戦は3バックの右でフル出場。谷口彰悟ら主軸DFを負傷で欠くチームで存在感を示した。中国との通算成績は16勝8分け7敗と日本が有利だが「パス1本の隙も与えないで(味方と)コミュニケーションを取ってやらないと」と気を引き締めた。
◆直近3試合の中国開催のアウェー戦
▽04年8月7日、アジア杯決勝(3〇1) 日本の国歌が大ブーイングでかき消される異様な雰囲気で行われた試合は、日本が前半22分に福西崇史の得点で先制。1―1の後半に中田浩二、玉田圭司がゴールを挙げた。試合後は選手バスに石が投げ込まれ、中国人サポーターの暴動は政治問題にも発展。
▽08年2月20日。東アジア選手権(1〇0) 相手のラフプレーに苦しめられ、安田理大が負傷退場。山瀬功治のゴールを守り抜いて1―0で勝利したが、試合後に選手バスが1000人を超える相手サポーターに包囲された。
▽15年8月9日、東アジア杯(1△1) 悔しいドローに終わり、未勝利(2分け1敗)で出場6度目にして初の最下位に終わった。3万8175人が駆けつけた会場の圧に屈し、前半10分に先制点を献上。同41分に武藤雄樹が同点ゴールを挙げたが、勝ち越すことはできなかった。
◆アモイ(廈門) 中国南東部の海岸に位置する港湾都市。台湾海峡を隔てて台湾と向かい合う。経済特区の一つで、外資系企業が多く進出している。温暖な気候からリゾート地としても知られ、11月の平均気温は最高24度、最低17度。人口は約429万人。