◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス 最終日(17日、愛媛・エリエールGC松山=6575ヤード、パー71) 22、23年の年間女王、山下美夢有(みゆう、23)=加賀電子=が5バーディー、2ボギーの68で回り、4日間トップを守る…
◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス 最終日(17日、愛媛・エリエールGC松山=6575ヤード、パー71)
22、23年の年間女王、山下美夢有(みゆう、23)=加賀電子=が5バーディー、2ボギーの68で回り、4日間トップを守る完全優勝で10月の富士通レディース以来の今季2勝目、通算13勝目を飾った。通算22アンダーは、22年の同大会の藤田さいき(21アンダー)を更新するパー71でのツアー新記録。前週、女王の座は竹田麗央(りお、21)=ヤマエグループHD=に譲り、3年連続女王を逃したが、12月の来季米ツアー出場権をかけた最終予選会(5日開幕、アラバマ州)へ弾みをつけた。
苦しいことが多かった今季の悔しさを晴らす1勝となった。紅葉が彩る秋のコースで山下の顔に、柔らかな笑みが広がった。「最終日になかなか伸ばせず悔しい思いをすることが多かったが、こうして勝てて良かった」。11、12番の連続バーディーで後続を5打離すと、最後は17、19年賞金女王の鈴木愛を2打差で振り切った。
4打差をつけて首位で迎えた最終日、今夏のパリ五輪(4位)を経験した山下ですら、この日は朝の練習場から「動きが硬かった」とコーチで父の勝臣(まさおみ)さん(49)は言う。序盤からチャンスにつかず苦しい展開。山下自身も「リズムだけを意識して」と言い聞かせ「3日目のようにプレーしようと8番から切り替えた」と振り返った。その8番で3メートルの初バーディーを奪うと68まで伸ばし、18番後は「2勝目できたー」と安どした。
前週の伊藤園レディスで4位に終わり、2年守った年間女王の座を竹田に明け渡した。本人は「試合が始まったら、いつも通り」とあまり意識はなかったが、前週後に母・有貴さん(48)に「残り2試合は自分らしい結果で終わる」と宣言していた。今季は2位が7回。これまで最終日に力みが出たり、パットを決めきれない面もあった。気持ちを切り替えて逃げ切ったこの日は「まだまだ課題はあるが、2勝目を挙げられてうれしい。来週のリコーカップも頑張りたい」と最終戦メジャーで、史上初の大会3連覇を見据えた。
シーズン後には来季米ツアー進出をかけた最終予選が控える。「ここからしっかりQスクール(予選会)に向けて頑張りたい」。関係者によると、経験豊富な外国人キャディーのジョン・ベネット氏とのコンビで予選会に臨む方針だという。「しっかり通過して、もっとゴルフ界を盛り上げられるように頑張りたい」。24年の主役は竹田に譲ったが、終盤戦で意地の勝利を手にした山下が、自信を胸に世界へ向かう。(岩原 正幸)
◆連続年間複数回優勝 山下は今回の優勝で22年から3年連続で複数回優勝を達成。歴代10番目の記録。最長記録は不動裕理が00~08年に達成した9年連続。