「阪神秋季キャンプ」(17日、安芸) 阪神は17日、高知県安芸市で行っていた秋季キャンプを打ち上げた。藤川球児監督(44)は佐藤輝明内野手(25)について「放っておいても大丈夫」とオフシーズンの放任主義を宣言。チームリーダーとして絶大な信…
「阪神秋季キャンプ」(17日、安芸)
阪神は17日、高知県安芸市で行っていた秋季キャンプを打ち上げた。藤川球児監督(44)は佐藤輝明内野手(25)について「放っておいても大丈夫」とオフシーズンの放任主義を宣言。チームリーダーとして絶大な信頼を寄せ、「充電が切れないくらいのパワーでスタートしてほしい」と来季の再会を楽しみにした。
背番号8が日に日に頼もしく見えていった。秋季キャンプ最終日。ウオーミングアップから、藤川監督の視線は自然と佐藤輝に注がれた。劇的な変化は明らかだった。
秋季練習が始まった先月22日。ストレッチをする佐藤輝の姿はどこか自由気ままに見えたが、それから26日後には見違えていた。「最終日は完全に佐藤選手が真ん中で、それをみんなが見るようなウオーミングアップの形になっていた」。輪の中心にいる佐藤輝を見て、藤川監督は確信した。
「オフの取り組みもチーム全体を見た上での取り組みをすると思いますから、放っておいても大丈夫だと思います」
指揮官自ら、オフシーズンの放任主義にお墨付きを与えた。昨オフの佐藤輝は米シアトルに拠点を置くトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」に出向くなど、独自トレーニングに励んだ。今オフも再訪するかは不明だが、それらの取り組みも全てチームの勝利に還元されるはずと藤川監督は信じている。
安芸には連日大勢のファンが駆けつけ、佐藤輝はひときわ大きな歓声を浴びていた。「ファンの人の多さ、誰がこれだけ高知に来たファンの方を喜ばせているのか」。さらにキャンプに参加した若手から一目置かれる存在だったと指摘し、影響力の大きさを認めた。
「相手はそういう選手、リーダーをへし折りに来る。責任を背負うというのはそういうこと」。藤川監督は佐藤輝をチームリーダーに指名し、相手の圧力に屈しない強靱(きょうじん)さを身につけてほしいと願った。そのために「ここで充電して、来年充電が切れないくらいのパワーで、いいものを蓄えて来シーズンスタートすれば」とオフの充電指令も下した。
岡田前監督は折に触れて佐藤輝を叱咤(しった)激励してきたが、藤川監督は異なるアプローチを試みている。「姿勢を見せよう」と語りかけ、主砲の自尊心を満たそうとしている。指揮官の言葉を伝え聞いた佐藤輝は「(若手に)見られてもいいようにやっていたつもり。しっかりやることをやって準備したい」と自覚十分に来季を見据えた。
「没頭」をテーマに掲げた17日間を振り返り、藤川監督は「すごくいい秋季キャンプが送れた」と充実感に浸った。秋にまかれた種は花を咲かせるのか。覇権奪回を義務付けられた来季、佐藤輝が背負うものは例年以上に大きくなるはずだ。