サッカー日本代表が快勝した。インドネシア代表とW杯アジア3次予選を戦い、アウェイで4-0で勝利したのだ。その内容と結果は、どのような意味を持ち、そして、代表チームの血肉になったのか。今後、待ち受ける中国戦の展望も含めて、ベテランのサッカー…

 サッカー日本代表が快勝した。インドネシア代表とW杯アジア3次予選を戦い、アウェイで4-0で勝利したのだ。その内容と結果は、どのような意味を持ち、そして、代表チームの血肉になったのか。今後、待ち受ける中国戦の展望も含めて、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り合った。

■「意図的に崩した」前半の2点

――序盤の鈴木彩艶のセーブが大きかったとのことですが、全体的に、前半はどうだったでしょうか。

大住「やはり、先制点が大きかったよね。それまではけっこう後ろにボールを戻すことが多かったけど、リードしてからは本当に積極的になった」

後藤「後半早々の守田英正のゴールは相手のミスも絡んだものだったけど、前半の2点は本当に意図的に崩して、確実に仕留めた点だった」

大住「2点目の南野拓実のシュート技術はすごかったよね」

後藤「少し膨らむようにしてペナルティーエリアに入っていって、一発で仕留めたもんね。アシストした三笘薫のクロスは、ブライトンで散々やっている形。左から持ち込んでアウトサイドで入れる。マンチェスター・シティに勝った試合でも見せたでしょ。再現性のあるプレーだということだよ」

大住「ちゃんとコントロールされて、タイミングも合っていたもんなあ」

後藤「三笘はちゃんと狙ってクロスを入れるからね。1点目も遠藤航から町田浩樹につないで、守田英正を経由して鎌田大地がクロス。中盤でのつなぎから縦にボールを入れてという、非常にきれいな形だったね」

大住「それまでのインドネシアの中央の守備の堅さを見ていたら、あそこをああいうふうに破れるとは、なかなか想像できなかった」

後藤「鎌田と守田が出入りして、相手の中盤に小さなスペースをつくる作業を繰り返して、ああいう形で仕留めたんだよね」

大住「その攻撃の質の高さは、ものすごいよね。外からクロスを入れてはいたけど、中はほとんど破れない状況が続いていたのに」

後藤「ああやって守られると、ふつうならミドルシュートを狙っていったり、セットプレーでしか入らないのに、ああやって意図的に崩して点を取っちゃうんだからすごいよ」

■「早かった」前田大然の交代出場

――1点目は小川航基の得点ではなく、オウンゴールと記録されました。

後藤「記録としてはね。相手選手の足に当たって入ったんだから、しょうがない」

大住「でも小川は、あそこに絡んだことで気を良くしたというか、重圧から解放された感じはあったんじゃないかな」

後藤「相当、体が強いDFともしっかり戦っていたし、小川でも見劣りはしないよな、という感じだった」

大住「もっとスピードがあればな、とは思うけどね」

後藤「前田大然とはタイプが違うんだから。前田のあの速さは、とんでもないものだよ」

――前田は後半開始から出場と、交代策は早かったですね。

大住「前半を終えてロッカールームに帰るときに、南野拓実が足を引きずっていたようなんだよね。ハーフタイムを迎えた瞬間にコーチに指示が出て、交代の準備をしていた。南野はシュートも素晴らしかったから、残念だったけど。とはいえ、前半を見ていて素晴らしかったのは鎌田だな。どこにいるべきか、今はボランチを助けるのか、あるいは前に入っていくべきなのか、という判断が素晴らしかった。すごく頭が良いのか感覚が優れているのか分からないけど、鎌田の動きでボランチも救われたし、守田が思い切って動けることにもつながっていた」

■日本が2点目を取った「時間帯」

後藤「守田と鎌田の関係が、このところ急速に良くなってきた気がする」

大住「そうかもしれないね。後半の途中には完全に疲れていたけど、それまでの鎌田のプレーは本当に良かった。個々の選手の質に、何というか深さのようなものが出てきていると感じる」

後藤「相手をよく見て、どういうポジションを取るかを皆が考えながらやっている」

大住「ボールを持って何をするというレベルじゃなくて、ゲーム全体の中で今、何をしなければいけないかを考えている。2点目を取った時間帯には、相手はケガで10人だったんだよね。申台龍(シン・テヨン監督)は選手交代の準備ができた選手を、気が変わって別の選手に切り替えた。その選手をゴール裏のウォームアップゾーンまで呼びにいって、結局、交代に4分間もかかった。日本の2点目は、その間の出来事だった。相手は10人なんだから、今取ればいいのにと思っていたら、本当に得点した。シンプルな形だったけど、しっかり決めた。そういう試合運びのうまさが、このチームには出てきたよね」

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