最終予選初先発で、しっかりと答えを出した。 11月15日に行なわれたインドネシアとの北中米ワールドカップ・アジア最終予選で、日本代表は4-0の勝利を掴んだ。1トップのファーストチョイスとなっている上田綺世がケガで招集外となり、森保一監督は…
最終予選初先発で、しっかりと答えを出した。
11月15日に行なわれたインドネシアとの北中米ワールドカップ・アジア最終予選で、日本代表は4-0の勝利を掴んだ。1トップのファーストチョイスとなっている上田綺世がケガで招集外となり、森保一監督は小川航基をスタメンで起用した。
小川航基は1トップの役割を十分に果たしていた
photo by Sano Miki
今年3月のアジア2次予選で、小川は2019年12月以来の代表復帰を果たした。北朝鮮を相手に1-0でリードした終盤に起用され、ピッチ上で勝利を告げるホイッスルを聞く。持ち味とするポストプレーを心がけつつ、前線から果敢にプレッシャーをかけていった。
「ホントにすばらしい舞台というか、誰もが目指す場所でのプレーはすごく楽しかった。より一層というか、今後も長くプレーしたいという思いにあらためてなったので、次はゴールをこの舞台で決められるように努力していきたいと思います」
6月のミャンマー戦ではスタメンで起用され、2ゴールの結果を残す。森保監督はこの試合で3-4-2-1のシステムにトライしており、小川のパフォーマンスは最終予選へつながるものとなった。
9月に開幕した最終予選では、ここまで4試合連続で途中出場してきた。9月のバーレーン戦と10月のサウジアラビア戦では、どちらも81分に勝利を決定づける得点を決めた。
限られた出場時間のなかで、アピールをしてきた。「日本代表で求められるのは得点だけじゃない。守備もやらないといけない。そこができない選手は呼ばれないと思っているので、そこがあっての自分の特徴なので、そこはしっかりと意識して取り組みたい」と話してきたとおりに、スコアや時間帯に応じて優先順位を整理し、勝ち点奪取につながるプレーを表現してきた。
所属するNEC(オランダ)でも、数字を残している。ここまでリーグ戦11試合に出場して5ゴール(得点ランキング6位タイ)。代表合流前は2試合連続得点を記録した。上田の不在を埋める存在として、インドネシア戦のスタメンを勝ち取ったのだった。
【ここでやらなきゃ、いつやるんだ】
試合前のウォーミングアップでは、長谷部誠コーチや3バックで先発する町田浩樹と橋岡大樹からピッチのさまざまな場所でさまざまなアングルの縦パスを受け、ポストプレーのイメージを身体に刻んだ。並行して左右両足のシュートを確認し、キックオフを迎えた。
「ここで結果を残して、チームの助けになれなければ自分の価値はないというか、これから上を目指していくうえで、『ここでやらなきゃ、いつやるんだ』という気持ちで臨みました」
チームは序盤からボールを支配するが、ゴール前にスペースは見つけにくい。小川は相手CBのジェイ・イツェスと激しくバトルしながら、ダイアゴナルランで背後を狙ったり、得意のエアバトルでゴールを狙う。18分には右サイドからのクロスに呼応し、ファーポスト際で空中戦に競り勝つ。しかし、ヘディングシュートは枠を逸れた。
得点チャンスは35分に訪れる。
敵陣でのポゼッションから、左DF町田がペナルティエリア内へ斜めにパスを差し込む。守田英正が処理したボールを鎌田大地が引き取り、ゴールエリア内左から中央へ横パスを通す。右CBの前へ走り込んだ小川が、左足でプッシュした。
当初は小川の得点とアナウンスされたが、のちにオウンゴールへ訂正された。それでも、得点へ至るまでの流れを評価する。
「ペナルティボックス内を固められたなかで、崩しても点を取る人がいなかったら意味がないので。しっかりと点を取れる位置へ、一番危険なところに入っていくっていうところ意識していたので、ああいったところは自分の特徴でもあるし、たまたまなことではないっていうか。しっかりと相手の前に入っていったのはよかったかなと思います」
南野拓実が2点目を蹴り込んだ場面では、CBと駆け引きをして相手の注意を惹きつけた。後半開始早々に守田が決めた3点目は、GKにチェイスしてキックミスを誘発した。菅原由勢が4点目を決めた場面でも、何度も何度もポジションを変えながらボールを引き出そうとした。
【オランダで開花した27歳のストライカー】
得点を奪うことはできなかったが、1トップとしての役割は果たしたと言っていい。とはいえ、1試合でFWの序列を覆すのは難しい。自らの立場を直視すれば、自己評価は自然と厳しくなる。
「自分としてはまだまだ満足できる内容ではなかった、点を取るためにどういうことをしなきゃいけないのか、どうやって点を取るのかというのを、工夫しないといけないです」
4年を超える空白期間を経て、小川はここから序列を上げていけるのか。日本代表のキャリアにおける重要な局面を、この27歳は迎えている。