◆大相撲 ▽九州場所7日目(16日・福岡国際センター) 脊髄損傷のため7場所連続休場から復帰3場所目の、元幕内で西三段目56枚目の炎鵬(伊勢ケ浜)が、ストレートで勝ち越しを決めた。同59枚目・優力勝(常盤山)を相手に立ってすぐにもろ差しにな…

◆大相撲 ▽九州場所7日目(16日・福岡国際センター)

 脊髄損傷のため7場所連続休場から復帰3場所目の、元幕内で西三段目56枚目の炎鵬(伊勢ケ浜)が、ストレートで勝ち越しを決めた。同59枚目・優力勝(常盤山)を相手に立ってすぐにもろ差しになると、すかさず左下手投げで転がした。「(勝ち越しは)うれしいです。今日できることをできたと思います」と胸をなで下ろした。

 炎鵬は十両だった昨年夏場所、持病の首痛が悪化。初日から9連敗を喫した後に部屋へ戻ると体が動かなくなり、翌日から休場を余儀なくされた。脊髄損傷のため2週間の入院中は寝たきり。当初は握力が10キロ程度まで落ち、箸も持てなかった。医師から手術を勧められ、日常生活に戻るために相撲は断念するよう告げられた。だが不屈の闘志で復帰への道を歩み、1本のひもを結ぶ練習から始まった壮絶なリハビリなどの日々を乗り越えてきた。

 復帰となった今年の名古屋場所は序ノ口で6勝1敗、序二段に番付を上げた秋場所も6勝1敗の成績を残し、今場所は三段目まで番付を戻してきた。これで長期休場明けから3場所連続の勝ち越し。ただ徐々に番付を戻し、当然ながら対戦相手のレベルも上がってくるだけに「どんどん強くなってくる相手に自分がどれだけ相撲を取れるか、怖さはあります」と正直な思いを吐露した。

 ただ、炎鵬はどこまでも前向きだ。「一日一日、そういったものを越えていきたいですね。(復帰3場所目で)相撲勘は少しずつ戻ってきているのかな、と。(けがをする)以前のものは考えないようにしています。前の自分と比べると、そこに劣ると思ってネガティブになったりする。生まれ変わった自分、今の自分が一番強いと思って言い聞かせてやっています。不安もありますけど、喜び、幸せはありますね」と相撲を取れることに感謝していた。