◆大相撲九州場所6日目(15日・福岡国際センター) 東前頭2枚目・若隆景が新大関・大の里に押し出しで快勝し、2場所連続の“怪物撃破”をやってのけた。優勝経験のある元関脇の実力者だが、右膝の大けがで一時は幕下に転落。久々に戻ってきた幕内上位で…

◆大相撲九州場所6日目(15日・福岡国際センター)

 東前頭2枚目・若隆景が新大関・大の里に押し出しで快勝し、2場所連続の“怪物撃破”をやってのけた。優勝経験のある元関脇の実力者だが、右膝の大けがで一時は幕下に転落。久々に戻ってきた幕内上位で、優勝戦線をかき回していく。

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 かつて大関争いの先頭を走っていた若隆景がパワーアップして帰ってきた。「昔の名前で出ています」ではない。新しい若隆景の力強さは上位陣にとって嫌な存在。立ち合いは鋭く低かった。両脇を固めて大の里に右を差させなかった。そして引いたところを一気に走った。力強さとうまさが光った一番でもあった。

 脇を固めて顎を引いて両前まわしを取るテクニックは角界でもトップクラス。23年の春場所で右膝を痛めて手術を受け、番付を幕下まで落としてしまったが、決して「回り道」ではなかった。

 同業者から「また毒ですか」と言われるかもしれないが、あえて言わせてもらう。大の里は押せないと判断するとすぐ引いてしまう。この毒を早く体から抜かないと出世の妨げになる。今場所は6日目にして2度目の毒を使った。緊急事態といえる。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)