◆プロボクシング ▽ヘビー級2分×8回戦 マイク・タイソン―ジェイク・ポール(11月15日=日本時間16日、米テキサス州アーリントン AT&Tスタジアム) プロボクシングの元世界3団体ヘビー級統一王者マイク・タイソン(米国)が14日(日本時…
◆プロボクシング ▽ヘビー級2分×8回戦 マイク・タイソン―ジェイク・ポール(11月15日=日本時間16日、米テキサス州アーリントン AT&Tスタジアム)
プロボクシングの元世界3団体ヘビー級統一王者マイク・タイソン(米国)が14日(日本時間15日)、19年ぶりの“公式戦”となるユーチューバーでボクサーのジェイク・ポール(米国)戦の前日計量に臨んだが、いきなりポールに張り手をかます“暴挙”に会場は騒然となった。
58歳のタイソンは15日、NFLダラス・カウボーイズの本拠地である米テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで27歳のポールと対戦する。58歳と高齢などを考慮、特別ルールが採用され、1ラウンドは通常の3分ではなく2分に短縮され、グラブも10オンスより重い14オンスが使用される。2005年6月のケビン・マクブライド(アイルランド)戦で6回に棄権してTKO負けした後に引退したタイソンにとって、“公式戦”は19年ぶりとなるが、引退後は2006年10月に練習パートナーだったコーリー・サンダース、20年11月には元4階級制覇王者ロイ・ジョーンズ(米国)とエキシビションマッチのため、リングに上がっている。
その一戦を前に、早くも“前哨戦”だ。14日の前日計量で、ヴェルサーチのパンツ姿で体重計に乗ったタイソンは228・4ポンド(約103・60キロ)。その後、227・2ポンド(約103・05キロ)だったポールの元へ歩み寄ると相手陣営の一人と握手。それからポールに向かったが、対面するといきなり右手で相手の頬に平手打ちを食らわせた。驚いて笑うしかないポールだが、両陣営はもみ合いに。引き離されたタイソンは「話は終わった」とだけ残して退場。怒りが収まらないポールは「タイソンは怒っていたね。彼は怒った、小さな妖精だ」などと話すと言葉にならない言葉を並べて絶叫した。
13日の記者会見では「戦う準備はできている。俺の言うことが分かっただろ?」「全て大丈夫。私は負けない」などと冷静かつ言葉少なに闘志を見せていたタイソン。一方、ポールは、右耳に特製のイヤーカバーを装着して登場。英紙などによるとダイヤモンドをちりばめた3000万円以上もする超高級品だったという。1997年6月にタイソンがイベンダー・ホリフィールド(米国)の耳をかみちぎった“事件”を揶揄(やゆ)したと思われる行動だった。
身長178センチ、リーチ180センチのタイソンに対し、ポールは185センチと7センチも高く、193センチと長い“長距離砲”を備えている。年齢差も31あり、1997年1月17日にポールが生まれた時にはタイソンはすでにWBA、WBC、IBFの3団体王座統一を果たすなど47戦を消化。先のホリフィールド戦が行われた時、ポールは生後5か月の赤ちゃんだった。
数字に加え、健康面でもタイソン不利の声も。当初、この試合は7月20日に予定されていたが、タイソンは5月に潰瘍を再発。延期となっていた。タイソンがドキュメンタリーで明かしたところによると、移動の飛行機内のトイレで血を吐いて気づいたら倒れていたという。医師からは「2・5インチ(約6・4センチ)の潰瘍がある」と言われたが、それでも試合に備えて練習を再開した。12日の公開練習では、2分のミット打ちで強烈なコンビネーションパンチを披露した。「鉄人」の異名を取って時代を築いたタイソンの戦いぶりに注目だ。
戦績は58歳のタイソンが50勝(44KO)6敗2無効試合、27歳のポールが10勝(7KO)1敗。