「大相撲九州場所・5日目」(14日、福岡国際センター) 平幕隆の勝が欧勝馬をはたき込み、土つかずの5連勝とした。30歳の誕生日を白星で飾り、初日からの連勝は自己記録を更新。三役復帰と悲願の初優勝へ、最高の序盤戦を終えた。大関陣は、豊昇龍が…

 「大相撲九州場所・5日目」(14日、福岡国際センター)

 平幕隆の勝が欧勝馬をはたき込み、土つかずの5連勝とした。30歳の誕生日を白星で飾り、初日からの連勝は自己記録を更新。三役復帰と悲願の初優勝へ、最高の序盤戦を終えた。大関陣は、豊昇龍が若隆景を下して全勝をキープ。大の里は熱海富士を押し出して連敗を免れ、琴桜とともに1敗を守った。トップは豊昇龍、隆の勝、阿武剋の3人となった。

 いつもニコニコ“おにぎり君”の頬が、さらに緩んだ。「30代を白星で始められた。プレゼントもケーキもうれしいけど、白星が一番。もっとうれしいですよ」。節目のバースデーを自ら祝う、自己新の初日から5連勝。隆の勝は幸せそうな笑みを浮かべた。

 立ち合いから欧勝馬を押し込んだ後、左上手を許して反撃されたが、素早く振りほどいてはたき込み。動きの良さと落ち着きが光った。

 15歳で角界入りし、人生の半分を力士として過ごしてきた。30代を迎えても、疲れやすくなるなどの体の変化は「ないですね」とニッコリ否定。「長く相撲をとれるように元気でいたいし、上を目指す気持ちは絶対捨てちゃいけないと思っている。年は関係なく、そこだけは若手と同じ気持ちで、精いっぱいやっていきたい」と、三十路(みそじ)の誓いを立てた。

 秋場所で現役を引退し、部屋付きとして指導にあたる元大関貴景勝の湊川親方の“金言”も生きている。直接アドバイスされることはほぼないが、同親方が若手に説く押しの大切さなどを「聞き逃さずに、自分に言われているつもりで聞いている」と隆の勝。稽古を重ねて一緒に部屋を支えてきただけに「1場所でも早く三役に戻るのが恩返し」という思いは強い。

 2020~21年に4場所連続で関脇を務めた実力者。今年の名古屋場所でも優勝決定戦に進んだ。「伸びしろしかないと思っています」という充実の30歳は、自分の可能性を信じて疑わない。