11月16日のインドネシア戦(ジャカルタ)に挑む日本代表が考えなければいけないもう1つのポイントが守備。ご存じの通り、2026年北中米W杯アジア最終予選序盤4戦で3バック中央に入っていた谷口彰悟(シントトロイデン)が負傷離脱しており、この…

 11月16日のインドネシア戦(ジャカルタ)に挑む日本代表が考えなければいけないもう1つのポイントが守備。ご存じの通り、2026年北中米W杯アジア最終予選序盤4戦で3バック中央に入っていた谷口彰悟シントトロイデン)が負傷離脱しており、このポジションを誰がこなすのかが懸念材料になっているのだ。

 今回のDF陣を見ると、センターバック(CB)要員は板倉滉(ボルシアMG)、町田浩樹(サンジロワーズ)、橋岡大樹(ルートン・タウン)、瀬古歩夢(グラスホッパー)、高井幸大(川崎)の5枚。右ウイングバック(WB)兼任の菅原由勢サウサンプトン)もCBをこなせる人材だ。
 とはいえ、3バック中央の経験値はどの選手もそこまで豊富とは言えない。そこは森保一監督も頭の痛いところだが、国際経験値や信頼度、6月の2次予選・シリア戦(広島)でこの役割をこなした実績を踏まえると、やはり板倉の抜擢以外には考えにくい。
「彰悟君は守備の対応も強いですけど、攻撃の起点にもなるような選手。相手のプレッシャーが来ていても、彰悟君の足元の技術でかわすこともできますし、ビルドアップのところで1つクッションができるのも大きいと思います」とGK大迫敬介(広島)は谷口効果を語っていたが、同等のタスクをこなせるのはやはり板倉だ。彼ならば今回のようなアクシデントにも確実に対応してくれるに違いない。

■6年前の橋岡大樹が堂々と語っていたこと

 板倉を真ん中に配置するとして、左右のCBは町田と橋岡になるだろう。町田は最終予選過去4戦に先発。左WBの三笘薫(ブライトン)とも息の合ったコンビネーションを見せており、問題は全くない。
 もう1人の橋岡にしても、最終予選序盤はケガで参戦していなかったものの、6月の2次予選・ミャンマー戦(ヤンゴン)では右CBでプレーしている強みがある。感覚的にもスムーズに適応できるはずだ。
「WBの選手が攻撃的で、前の選手がどんどん崩していってくれるという意味では、後ろはしっかり守って、ボールを取って繋げるところまでやらないといけない」と本人も右CBで出た時の役割を自分なりに理解している様子。それは心強い点と言っていい。
 加えて言うと、橋岡は2018年10月のAFC・U―19選手権の準々決勝・インドネシア戦に出場。最終ラインのリーダーとしてゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムで勝利の原動力になった経験がある。その時も6万人超の大観衆の中での大一番だったが、彼は全く動じることなくチームを確実に統率していた。
「大観衆の中で僕たちずっと浦和レッズではやっているので、そこは他の人より慣れているんじゃないかなという気持ちもありましたし、それと雨が降ってきて、少し視界が見づらくなってきたっていう中でも僕たちはしっかりそこでも集中切らさずにできたんじゃないかなと思ってます」と橋岡は6年前、堂々とコメントしていた。そのいいイメージを持って今回のインドネシア戦に入れるのは大きなアドバンテージではないだろうか。

■日本が示すべきDFの人材

 今の日本代表は谷口に限らず、冨安健洋アーセナル)、伊藤洋輝(バイエルン)も長期離脱中。今夏、欧州から日本に戻ってきた中山雄太(町田)も参戦できていない。2022年カタールW杯の後、吉田麻也(LAギャラクシー)が「これだけの能力のある若いDFがいるんだから、彼らでしっかり戦っていける」と話していたが、これだけアクシデントが続くというのも想定外だったと言える。
 それでも日本にはまだまだDFの人材がいるということをしっかりと示さなければいけない。まだ未招集のチェイス・アンリ(シュツットガルト)らを含め、守備陣を底上げしていくことが、W杯上位躍進への絶対条件。今回のインドネシアを好機と捉え、インドネシアを完封すべく、彼らには鉄壁の守りを前面に押し出してほしいものだ。
(取材・文/元川悦子)

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