11月15日、サッカー日本代表は2026FIFAワールドカップアジア最終予選の第5戦目を迎える。対戦相手はインドネシア代表だ。首都・ジャカルタにあるゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムに7万人ものサポーターが集まるとされるこのアウェイゲームに…

 11月15日、サッカー日本代表は2026FIFAワールドカップアジア最終予選の第5戦目を迎える。対戦相手はインドネシア代表だ。首都・ジャカルタにあるゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムに7万人ものサポーターが集まるとされるこのアウェイゲームに、森保一監督はどのようなメンバーで挑むのか考察する。

 森保ジャパンはここまでの最終予選の4試合を、3勝1分で推移している。グループCの最上位にいる日本代表がここまで最も苦しんだのは第4戦目・オーストラリア代表戦(埼玉スタジアム)で、1-1の引き分けだった。
 11月シリーズの2試合はどちらもアウェイで行われるもので、まずはインドネシア・ジャカルタで行われ、その後、中3日で中国・厦門に乗り込んで中国代表と対戦する。森保一監督も、「FIFAランクやアジア最終予選での対戦は日本が有利に思われている方は多いかもしれませんが、アウェイの洗礼も含めて厳しい戦いになると思っています」と口にした2連戦となる。
 その言葉が示すように、日本代表の森保監督や国内組の選手らは羽田空港を11日に出発したものの、機材トラブルによって上空で引き返すことに。最初の出発から10時間後に再出発して、翌12日未明に改めてインドネシア入りしている。
 そのインドネシアは、急激にチームとしての力を上昇させている。インドネシアにルーツを持つ欧州の選手が続々と国籍変更をして同国の急成長に寄与してきたからで、森保ジャパンにとっても気を抜けない相手となる。
 そんなインドネシアと戦うべく今回、選出された日本代表のメンバーは27人。このうち試合に登録できるのは23人であるため、森保ジャパンはこれまで通り対戦相手に応じてベストなメンバーを組むこととなる。
 現地時間13日の練習は冒頭15分のみの公開となったものの、27人全員が参加。午後5時30分に開始となったが、日本やヨーロッパの11月では体感できない高温多湿の中で汗を流した。
 また、今回は主軸である2人の選手が怪我を負って召集されていない。ここまでの最終予選の4試合すべてで1トップで先発してきた上田綺世、そして、3バックで欠かせない存在だった谷口彰悟だ。この2人の代わりにピッチに立つのは果たして――。

■谷口彰悟の欠場で3バックの構成は

 ここまで森保一監督がW杯最終予選の4試合で用いたシステムは3-4-2-1。“攻撃的3バック”と呼ばれるシステムで、得点を量産してきた。今回の2連戦でも、このシステムで戦うはず。
 まずGKは、鈴木彩艶。今季からセリエAを舞台とする鈴木は、ここまでのA代表を最後尾で守ってきた。今回も先発から外れる要素はなく、スターティングメンバーに名を連ねるだろう。
 最終ラインは注目が集まる場所の一つ。ここまでの4試合は谷口彰悟、板倉滉町田浩樹の3人で組んできたが、先述したように谷口は今回のメンバー発表後に負傷をして外れることとなった。追加召集されたのは、パリ五輪で活躍を見せた関根大輝で、橋岡大樹瀬古歩夢菅原由勢、高井幸大も含めてこの5人がピッチに立つ候補となる。
 純粋なCBということになれば瀬古と高井が有力候補となり、SBでの出場が多い橋岡と菅原を起用する場合は、攻撃的な戦い方を選択することとなる。
 その中で今回は、橋岡大樹が入るか。アジア2次予選の最後の2試合でも、森保一監督は3バックを採用。そのうちアウェイ・ミャンマー戦(6月6日)では右に橋岡大樹、中央に谷口彰悟、左に伊藤洋輝を並べていた。直後のホーム・シリア戦では右に冨安健洋、中央に板倉滉、左に町田浩樹という並びで、現在いる選手をこの起用法に当てははめるなら、左に町田浩樹、中央に板倉滉、右に橋岡大樹となるからだ。
 13日の練習直後に取材対応した板倉滉は、谷口彰悟がいないことで選手が変わる中で「やるべきことは試合前にはっきりしておかないといけない」と説く。そして、自身が3バックの中央で起用される可能性についても「チームで3枚でやる時も真ん中でやるので、スムーズに対応できる」と自信を見せている。
 また、その直前に取材に応じた瀬古歩夢は「3バックならどこでもできるのが(自分の)特徴」と言い切り、「自分はこういうチャンスをものにしないと生き残れない」と闘志を燃やしていただけに、橋岡ではなく瀬古の起用にも注目が集まるところ。
 ただし、最終予選の初戦・中国戦で後半途中から高井幸大を用いたこと、また、プレミアリーグで活躍する菅原由勢も控えていることも考えれば、指揮官がどのように判断するか。

三笘薫が語る試合のイメージ

 ダブルボランチには、遠藤航守田英正が今回も起用されるだろう。サウジアラビア戦でもハイパフォーマンスと抜群のバランス関係を見せた2人は、このチームの心臓部。遠藤はオーストラリア戦をコンディション不良で欠場したものの、今回は現地で問題なくトレーニングに参加していることから、起用に支障はない。
 なお、そのオーストラリア代表戦で遠藤の代役を務めたのは田中碧。ボランチの3番手にいる田中が、今回の活動で改めて存在感を放てるかも注目だ。
 攻撃的3バックと呼ばれるゆえんでもある両ウイングには、三笘薫と堂安律が入るか。もし、選手起用の変化があるとすれば、右サイド。伊東純也の縦へのドリブルは大きな武器であり、森保監督も後半途中からギアを上げるカードとしてここまで重用している。サウジアラビア戦、そしてオーストラリア戦の2連戦でも堂安を先発起用したことからこの試合でも同じ役割となる可能性が高いが、今回の森保監督の判断はどうなるか。
 インドネシア代表に帰化選手が増えたことについて、伊東は13日の練習後に「個の力は上がっている」と言及。そのうえで、「奪ったあとのチャンスは映像でもけっこうある」と、対戦相手の研究に余念がない。
 三笘は引いてくる相手に対して、「システムを考えながら立ち位置を調整すれば、ボールを持てる時間は増えると思う」とトレーニング後に話し、攻撃のイメージを膨らませていた。
 シャドウに入る2人は、右から南野拓実鎌田大地か。他に久保建英も控えており、その久保は直近のバルセロナ戦では出色のパフォーマンスを披露。その鮮やかな活躍ぶりから先発への期待も高くなるが、一方で、チームに合流したのは最も遅い。鎌田と南野の方がコンディション面で優れていると思われるだけに、まずは久保がベンチスタートとなるか。

■気になる1トップ

 上田綺世が外れた1トップを誰が務めるかは、チームの戦い方にも大きく影響する。今回、このポジションを務めることができるのは、小川航基大橋祐紀、そして古橋亨梧だ。
 この中で先発に最も近いのは小川か。186cmの身長を生かしたポストプレーと、森保ジャパンにおいて高い決定力を発揮しているストライカーだ。
 小川はここまでの4試合すべてで途中出場。アウェイ・バーレーンでダメ押し弾を決めると、アウェイ・サウジアラビア戦では、気候面でもサポーターの圧においても苦しい状況で試合を決定づける得点を決めて見せた。この試合も、多くのサポーターが駆け付けた圧倒的なアウェイゲーム。その試合を前に、「(大観衆の中での強い)そういった相手こそ、自分の力が試される大一番。そういうところで力を発揮できるのが自分のストロングだと思うので、本当楽しみです」と意気込んでおり、その通りの結果を見せつけた。
 それほどの胆力を持ち、また、2次予選・ミャンマー戦でも先発した小川であれば、上田が出場した場合と同じような戦い方も目指せるだけに、現時点でのファーストチョイスになるだろう。
 その小川は、ジャカルタ市内での12日の取材対応で「こういうチャンスをしっかりと自分のものにしたい」と意気込んだうえで、2シャドウとの関係について「素晴らしいパフォーマンスができる選手がたくさん揃っている中で、しっかりと僕は前線で体を張ってキープして、そういった選手に前向きでいい形でプレーさせてあげるのが大事。僕自身、得点を取るだけじゃなくて、そういうところもやっていければ」とイメージを膨らませていた。
 ただし、古橋亨梧と大橋祐紀の起用法も気になるところ。森保監督は古橋について、「代表召集はなかなか最近できていませんが、彼のプレーは常に行ける限りスタッフがセルティックの試合を現地で観て、毎試合、映像を通して確認はしてきている」と話している。
 そのうえで、「彼の特徴はゴール前でピンポイントで、合わせてゴールを奪いきる、仕留めることができる」と評価しており、今回、出場機会を得た場合にその「結果」で応えられるか。
 その古橋はジャカルタ市内の練習場で「もしプレーするチャンスがあるのなら、代表で森保さんがやるサッカーをやりながら、自分の良さを出せれば」と意気込む。そして、「よりボールを引き出したり周りを生かしたりすることは意識している」と自身の成長を言葉にして、新しい姿を見せるつもりだ。
 今回のサッカー日本代表のアウェイ2連戦は、DAZNで無料配信される。その初戦は、日本時間の15日21時にキックオフとなる。

いま一番読まれている記事を読む