「大相撲九州場所・4日目」(13日、福岡国際センター) 平幕阿炎が、新大関大の里をすくい投げで撃破した。くせ者力士が完璧な作戦勝ちで3連勝とし、三役復帰へ弾みをつけた。他の大関陣では、琴桜が若隆景を寄り切って1敗を死守。豊昇龍は宇良を上手…

 「大相撲九州場所・4日目」(13日、福岡国際センター)

 平幕阿炎が、新大関大の里をすくい投げで撃破した。くせ者力士が完璧な作戦勝ちで3連勝とし、三役復帰へ弾みをつけた。他の大関陣では、琴桜が若隆景を寄り切って1敗を死守。豊昇龍は宇良を上手投げで退け、全勝を守った。トップは豊昇龍と、平幕の熱海富士、隆の勝、阿武剋の4人。

 波に乗る新大関を“くせ者”が止めた。阿炎が先場所の千秋楽に続き、大の里を撃破。「立ち合いでしっかり当たって、自分の相撲を取り切れた。体が勝手に動いた」。支度部屋では体に巻いたバスタオルを両手で大きく広げて笑い、充実感を漂わせた。

 完璧な作戦勝ちだった。場所前に行われた二所ノ関一門の連合稽古では、集まった関取衆でただ1人、申し合い稽古を行わなかった。手の内は一切明かさない。代わりに大の里の動きを注意深く観察していた。

 「圧力では勝てない。動きで勝とう」。そう判断すると、この日は右のど輪で先手を取り、素早く左に移動。相手が反撃に来ると、今度は右に動いて回り込んだ。「全部がうまくかみ合った」。最後は幕内で18年初場所以来、決まり手として出したことがないすくい投げ。新大関の動きを読み切り、意表を突く投げで勝負を決めた。

 高田川審判部長(元関脇安芸乃島)は大の里の立場に立ちながら、阿炎のくせ者ぶりを評価。前回対戦は、阿炎が仕切りをはぐらかして心理戦に持ち込んだ一番だっただけに「先場所の残像があったんでしょう。何をするか分からないから、やりづらかったんじゃないか」と分析した。

 東関脇だった先場所は5勝10敗と負け越し、5場所ぶりの平幕で今場所を迎えている阿炎。初日黒星とつまずいたが、2日目から3連勝とし、調子を上げてきている。「一日一番、自分の相撲を出せるように頑張りたい」。九州場所はともえ戦を勝ち抜き、初優勝した縁起のいい地でもある。

 2度目Vと三役復帰へ。実力とうまさを兼ね備えた力士が、土俵をかきまわしていく。