◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 事前情報(12日)◇フェニックスカントリークラブ(宮崎)◇7042yd(パー71)2022年の12月、松山英樹は都内のドライビングレンジで開催されたジュニアレッスン会に参加した。スポンサー契…
◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 事前情報(12日)◇フェニックスカントリークラブ(宮崎)◇7042yd(パー71)
2022年の12月、松山英樹は都内のドライビングレンジで開催されたジュニアレッスン会に参加した。スポンサー契約を結ぶNTTデータ(本社・東京都江東区)のイベントで、人生で初めて先生役に。集まった中高生男女を会場の打席に一人ひとりを招いて、実際にボールを打つ様子を見ながら丁寧にアドバイスを送っていった。
22人の参加ジュニアの中にひとり、飛びぬけて体が大きい男子ゴルファーがいた。放つドライバーショットは前方の防球ネットを次々と揺らし、豪快そのもの。「え? キミ、中学生?」と思わず驚くマスターズチャンピオン。当時、愛知・名古屋市内の中学に通っていた、松山茉生(まつやま・まお)との出会いだった。
レッスン会はひとり5分の持ち時間で、それぞれの悩みに対して助言を受けるという形式。「ショットを安定させたいんです」という14歳(当時)に対し、プロはスイングをひとしきり見て、「今すぐ直さなくていいと思う。そのまま力いっぱい振って、頑張ろう」と声をかけた。粗削りで、気になるポイントがなかったわけではないが、「細かいことを知って、小さくまとまってほしくない」という将来を見据えた考えからだった。
あれから1年半後の今年6月、中学を卒業して3カ月あまりの松山は「日本アマチュア選手権」を史上最年少の15歳344日で制覇。その間、黒宮幹仁コーチが指導役を務める福井工大福井高に入学していた。なにも師弟関係にあり、ボスであるプロの松山と“暗躍”したわけではない。黒宮コーチもまた、中部地方でのジュニア大会で中学2年時の茉生少年の潜在能力に惚れ込み、早くからアプローチをかけていたという。
レッスン会以来の再会を果たした今週、2人の松山は石川遼を交えて3サムで予選ラウンドを回る。32歳は「すごい球を打つ。きのう練習場で久々に見て、成長しているなとも感じましたし、日本アマを勝つだけの力はあると思った。あの子がアマチュアの試合にいると思うと怖いですよね」と笑った。
ただただ興奮したのは16歳のほう。組み合わせが発表される開幕2日前、練習ラウンド中にスマートフォンで豪華グループを知り、思わず目を見開いた。「本当に驚きと、うれしさと、本当に幸せだなと思ったのと…イヤだなって思いました」と正直だ。「かなりの数のギャラリーの皆さんが来ると思います。そう考えると緊張してきて…。そういう面でイヤだなと(笑)。小さい頃からの憧れで、すごい選手だと思っている2人。回れることがスゴイ」
10代にとっても、2年前に「自分のショットに驚いてくれた記憶があります」という“5分間”の思い出は色あせていない。なにせ当時、「僕もあの時、『自分のことを覚えてもらいたい』と思っていたんです」という熱意を持っていたからだ。(宮崎市/桂川洋一)