<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯>◇9日◇東京・代々木第一体育館◇男子フリー昨季の世界選手権銀メダルの鍵山優真(21=オリエンタルバイオ/中京大)が今季自己最高の300・09点をマークし、連覇を達成した。「心の…
<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯>◇9日◇東京・代々木第一体育館◇男子フリー
昨季の世界選手権銀メダルの鍵山優真(21=オリエンタルバイオ/中京大)が今季自己最高の300・09点をマークし、連覇を達成した。
「心の部分が成長した証し」。唇をかみながらも、鍵山の言葉はすがすがしかった。冒頭、練習では好調だった4回転フリップで転倒も、「他のジャンプを気持ちで立て直せた」。自身の今季GPシリーズ初戦で、第1目標だった300点台を達成。「失敗しても次にいけるような練習をしてきた」とうなずいた。
勝利への執念だった。左足首疲労骨折による休養からの復帰後、幼い頃から感情を表に出すタイプではなかった21歳は、周囲に「勝ちたい」と意志を示すようになった。この日も疲労感はあったが「最後まであきらめてはいけない」。自分を律し、踏ん張りきった。
「今後に向けてアピールするために」。7日の公式練習、観客席にジャッジの関係者を見つけると、今回の演技には入れない4回転ルッツを披露した。慎重な発言が目立つが、日の丸を背負う覚悟は言動ににじむ。「多くの日本人が注目する大会。オリンピックに向けて自分の存在をアピールできたら」。満員の代々木第一体育館。大会連覇で思いを体現した。
イタリア出身のコストナー・コーチからは試合後「ミケランジェロのようなスケーティングができるようになれ」とハッパをかけられた。同国の偉大な芸術家の名を出し、世界的な期待をかけられている。次戦は第5戦フィンランド大会。既に1週間を切るタイトな日程だが「勝負が始まる。失敗を恐れず、攻めていきたい」と誓った。2年連続のGPファイナル進出、その先の五輪へ-。心の炎を燃やす。【勝部晃多】
◆GPシリーズ 95-96年シーズンに「チャンピオンシリーズ」の名で開始。98-99年シーズンに「グランプリシリーズ」に改称。ロシア、カナダ、中国、日本、フランス、米国などで開催されてきた。例年10月から11月にかけて6週連続で6大会が行われ、各選手(組)最大2大会への出場が可能。順位に応じたポイントの合計で、上位6人(組)が、12月に開催するGPファイナルに出場する。