WRC最終戦「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」開催直前となる2024年11月8日(金)、このラリージャパン参戦のために帰国中の勝田貴元が、昨年に引き続き自身の母校を訪問し、ラリーの特別授業を行った。 勝田は愛知県長久手市出身。昨年…

WRC最終戦「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」開催直前となる2024年11月8日(金)、このラリージャパン参戦のために帰国中の勝田貴元が、昨年に引き続き自身の母校を訪問し、ラリーの特別授業を行った。

勝田は愛知県長久手市出身。昨年は長久手市立南小学校を訪問し小学5年生の後輩児童に特別授業を行ったが、今回は長久手市立南中学校の中学2年生279名を対象とした授業となった。この特別授業では、南中学校の体育館でまずラリーに関する講義が行われた。勝田の訪問は卒業以来、実に15年ぶりとのこと。
「当時、新校舎はありませんでしたが、他の校舎は変わっていなかったのですごく懐かしかったですね。僕の時代は制服が学ランでしたが、ブレザーになってすごくオシャレだなって違いを感じましたけどね」と語っている。



講義ではラリーに関する解説のみならず、“中学時代の友人とは今でもつながりがあって、この友情は一生モノだから、みんなも大切にしてほしい”と、後輩に向けたメッセージも。また、事前に生徒たちから集められた質問の中から4名が代表質問というかたちで、「視界が悪い時でもペースノートだけを頼りに進むこともあると聞いたことがあるのですが、怖いと思うことはありませんか?」、「ラリーで使われるクルマには性能差はありますか?」、「レース前やレース中の心の状態を知りたいです」といった質問が投げかけられた。



「思うようにいかなかったり、納得がいかなかったりした時のモチベーションの戻し方や保ち方、立ち直り方を教えてください」という質問に対しては、「失敗した時点で諦めないようにしています。途中で辞めてしまったら、失敗が失敗になってしまう。でもやり続けていけば成功するために必要だった糧となります。将来結果を出せば全部ひっくり返ります。それは覚えておいてほしいなと思います」と、丁寧な返答がなされていた。



講義の後は、校庭で実際のラリーカーを見ながら車両の解説が行われた。校庭にはすでに午前中に運び込まれたトヨタGRヤリス・ラリー1が待ち構えており、暖機運転が終わったところで、車両をぐるりと囲むように生徒が並ぶ。ひととおり解説が終わると生徒たちからの質問を受ける時間が設けられたが、実際に貴元選手がステアリングを車両から外して詳細を説明したことに触れ「GTカーでは可倒式のステアリングを使用しているのに、なぜラリーカーはステアリングが取り外しするタイプなのか?」という鋭い質問も。これに対しては「取り外し式のステアリングは取り付ける際に少し時間がかかります。レース中にドライバー交代のあるGTでは、取り外すよりも可倒式にした方がミスを少なくし、時間も稼げるからです」と説明していた。



車両の解説に続き、いよいよデモンストレーションランが始まる。勝田はヘルメットをかぶり、助手席に生徒を乗せて、大量の砂埃を巻き上げながら校庭を爆走した。今回は2年生に対するラリー教室ということだったが、同校の1年生及び3年生も、それぞれの教室からこの模様を見守っていた。



このデモンストレーションランでは生徒4名が同乗体験を行った。事前に保護者の承諾を得て同乗体験を希望した生徒の中からくじ引きで選ばれたものだが、そのうちのひとり、坂倉颯真(さかくらそうま)さんは「ラリーカーについては前から少し知っていましたが、ラリーカーをもっと知ることができて良かったです。ドリフトしたクルマに初めて乗りましたが、楽しい気持ちが勝って怖さとかは感じませんでした。勝田選手は何を聞いても丁寧に答えてくれて、いい人だなぁと感じました。これまでラリージャパンはTVでしか見たことがなかったので、今年は必ず観に行こうと思います」とコメントしてくれた。



また、今回の特別授業には前半の講義から佐藤有美長久手市長も参加し、授業を聞き、そしてデモンストレーションランをじっくり鑑賞していた。佐藤市長は「去年は小学校で小学生が盛り上がっていたのですが、今年は中学ということで中学生はまた違う盛り上がりがあって、興味深かったです。ラリージャパンには22日に豊田スタジアムでのオープニングの式典に行き、私も直接応援をしたいと思います」とコメントしてくれた。

デモンストレーションラン後、生徒会長からお礼のあいさつがあり、2年生全員とともに記念撮影を行い、このラリー特別授業は終了。



ラリー特別授業を終えて勝田は「昨年も自分の母校である南小学校でラリー特別授業を行いましたが、今年も母校である中学校に帰ってきて、ラリー前に初心に返ることができました。中学の3年間は自分にとっても重要な3年間だったので、話す内容も、言葉もちゃんと選んで話をさせていただきました。みんなを笑顔にするというのが一番重要だと思うので、デモランも見て楽しんでもらえたかなと思いますし、自分にとっても、とてもいい機会を設けてもらいました」と振り返った。
(Yoshiaki Aoyama)