プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手(43)が5日、今季限りでの現役引退を表明した。福岡市内で記者会見し、22年間の現役生活について「やり残したことのない野球人生だった」と振り返った。 1980年度生まれの「松坂世代」の最後の現…
プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手(43)が5日、今季限りでの現役引退を表明した。福岡市内で記者会見し、22年間の現役生活について「やり残したことのない野球人生だった」と振り返った。
1980年度生まれの「松坂世代」の最後の現役選手。5年前から引退を考え始め、今年7月に決意したという。「ずっと左肩の痛みと戦いながら投げていた。今季はひざや腰を痛め、体がぼろぼろになっていっていると感じていた」と話した。年々、選手以外の立場で野球界に貢献したいという考えが増していたが、「その比率が今年、完全に上回った」という。
現役時代の思い出として、新人だった2003年、阪神との日本シリーズ第7戦で先発完投し胴上げ投手になったことや、けがで1年半投げられず、19年の本拠での復帰登板で大きな拍手を浴びたことなどを挙げた。
プロ生活の転機となったのは12年からの大リーグ挑戦だ。けがでマイナー生活が続いたが、糧にした。「渡米前は1軍でしかやっていなかった。ファームで頑張っている子たちや裏方さんの気持ちをじかに知ることができた。そこから若い子に成長して欲しいという気持ちで接してきた」と話した。
球団からはシーズン中の引退試合の打診があったが固辞したという。「野手の方が三振をしてくれるかもしれないが、22年間、真剣勝負をしてきた自負がある。そういう1アウトを入れたくはないし、野手の方にもアウトをつけてしまうので」と説明した。今後は未定で、「野球や野球以外のことについて勉強したい。野球界やホークスに貢献できれば」と話した。
和田は島根・浜田高から早大を経て、02年秋のドラフト自由枠でダイエー(現ソフトバンク)に入団。1年目に14勝5敗の成績で新人王を獲得。10年には17勝8敗でパ・リーグ最多勝、最優秀選手(MVP)にも輝いた。11年オフに海外フリーエージェント(FA)権を行使して大リーグ・オリオールズ入り。その後、カブスに移籍し、通算4年で5勝5敗。ソフトバンクに復帰した16年に15勝5敗、勝率7割5分で最多勝と最高勝率の2冠に輝いた。日本のプロ野球では通算18年で334試合に登板し、160勝89敗、防御率3・18だった。
■王会長「生きざま、手本に」
王貞治会長
和田の入団時の監督。「投手としての22年間っていうのは本当に素晴らしい。人に言えない体の具合とか色々悩んだことも多かっただろうけど、それを乗り越えてやろうという強い意志、そういうプロ野球選手にとって一番大事な部分を彼は持っていた。彼の生きざまっていうのは若い選手たちにもずいぶんお手本になったんじゃないか。見習ってほしい。本当に長い間お疲れ様でした。第二の人生を頑張ってください」
■小久保監督「これから野球界に貢献を」
小久保裕紀監督
「22年にわたる長い現役生活お疲れ様でした。ホークスに限らず、他球団にも毅を目標としている選手が多く、良い影響を与えた印象が強い。これまで培ってきた経験や知識を生かし、これからも野球界に貢献して欲しい」
■ヤクルト石川「もう一度勝負したかった」
現役引退を発表したソフトバンクの和田毅へ、球界ではねぎらいの言葉が相次いだ。
1980年度生まれの「松坂世代」では、和田が最後の現役プロ野球選手だった。事前に連絡を受けたという松坂大輔さん(44)は「同世代の最後の砦(とりで)。ここまで投げ続けてくれて本当にありがとう、と。本人が考えに考え抜いた末にたどり着いた決断だと思います」と感謝を口にした。「和田投手とは何度も投げ合いました。マウンド上の彼の姿、その投球に引っ張られて自分もいいピッチングができたと思っています」と明かし、「これからも同世代で力を合わせて野球界を盛り上げていきたいと話をしました」とコメントした。
球界最年長の44歳、ヤクルト・石川雅規は「毅とは高校の時に甲子園で戦った時からの付き合い。同世代の常にトップを走っていた投手で、私の方が年上なんですが、追いかける存在でした」とコメント。「もう一度、1軍のマウンドで投げ合い勝負したいという気持ちでしたが、実現できずに寂しい」と惜しんだ。
同じく今季限りで引退したヤクルトの青木宣親は早大の1年後輩。「同じ年に引退するとは思いませんでした。大学時代から、ひたむきに練習する姿がカッコよくて、こういう投手がプロにいって活躍するんだろうなと思っていました。一緒に野球をやれたことを誇りに思います」と述べた。
早大の後輩で、一緒に自主トレもしていたロッテの小島和哉は「他チームではあるのですが、迷っている時に相談をすると親身に優しく話を聞いていただき、本当に何度も救われました」とし、「プロの世界で憧れの方と投げ合う機会をいただけたことは忘れられない思い出で、宝物です」とコメントした。